支払いを幼い子どもに任せる客
近年増えているフードデリバリーサービスのなかには、悪天候下に配達すると金額が上乗せされる “インセンティブ”がつくケースもある。ノムラさんの宅配ピザ店にはそうした制度はあったのだろうか?
「一切なかったですね。ただ、お客さんのなかには配達した際にお釣りをチップとして僕にくれたり、料金とは別に1000円を渡してくれたり、雨を拭う用のタオルをくれる神客もいました。お金やモノに限らず、言葉で感謝を伝えてもらえると、素直にうれしいですね」
反対に“NG客”にあたると、たとえ晴れた日でも怒りの感情がわいてくるという。
「たとえば、お釣りを投げつけてくる客や、理由もなくガンを飛ばしてくる客。また、表札がない一軒家は、届け先が見つからないので非常に困ります。そのほか、支払いや注文を幼い子どもに任せる親も理解できません。ミスが起きる可能性があるのでやめてほしいです」
そしてもっとも不快なのは“ありがとうを言わない客”と、ノムラさんは強調する。
「配達したときに、ピザを受け取って何も言わず強く玄関の扉を閉められると、こちらも人間なので傷つくんですよね。いろいろ言いましたが、悪天候でも、ひと言『ありがとう』とさえ言ってもらえれば、とてもうれしいし、やりがいも感じるんです。これからもデリバリーを利用しようと思っている人は、食事を届けてくれた配達員に『ありがとう』と言ってあげてください」
読者の中にもフードデリバリーが生活の一部になっている、という人もいるはず。彼らに感謝の気持ちを伝えつつ、台風や大雪の日、雪の日の翌日は、デリバリーの利用については再考してもよさそうだ。