ベランダでタバコを吸っていたらトラブルに
くつろげるはずの自分の家も、同居人がいれば気を遣わねばならない。こちらは30代・中江慎太郎さん(仮名)の先輩の話。
「喫煙者の先輩は既婚者で、家で吸うときは換気扇の下ではなくベランダに出て吸っていました。これは家の中が臭くなるからダメという奥さんの意向だそうです。
その先輩が仕事の都合で引っ越しをしたのですが、新しいマンションのベランダで吸っていたところ、速攻でマンションの管理人から『煙の匂いが洗濯物につくから、ベランダで吸うなと苦情が来ている』という電話が来た。どうやら、上の階の人がクレームを入れたようです。
家の中でもベランダでも吸えなくなった先輩はもう八方塞がりです。ついに紙たばこから臭いが比較的少ない電子タバコに切り替えたうえで、奥さんになんとか頼み込んで今では換気扇の下で縮こまって吸っているそう」
法改正以降、コンビニの駐車場などにあった灰皿も次々と撤去され、喫煙場所を求めて街をさまよう喫煙難民が増えている。
「2020年の初夏、法改正に加え、コロナの影響で駅周辺の屋外喫煙所も閉鎖されてしまい、自宅以外で喫煙者の居場所はほぼなくなってしまいました。
そんなある日、某繁華街のたばこ屋の前を通りかかると、灰皿が置いてるわけでもないのに店の付近がスモーカーの憩いの場と化していて、ほぼ喫煙所のようになっていたんです。『たばこを販売している店だから、その近くの路上でなら吸ってもいい』という謎の理論でそうなったんだと思われます。
たばこ屋さんも喫煙者を気の毒に思っていたのか、『そこでたばこを吸わないでください』といった文句はいっさい言わなかったので、私もよくそこでたばこを吸うようになりました。
ところがほどなくして、このたばこ屋の付近は吸い殻が大量に散乱する無法地帯になっていました。割れ窓理論みたいなことなんでしょうね。
さらに数カ月後に前を通ると『喫煙禁止』の張り紙や、『NO SMOKING』と書かれたバリケードテープがぐるぐる貼られていて、まるで事件現場のようになっていました。おそらく行政や近所から相当苦情がきたんだと思います。
ちなみに、今でもそのたばこ屋の前を通ると数人の喫煙者がたばこを吸っていますよ」(同前)