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平坂 こんなに強い毒をもたなくちゃいけないって、お前らのまわりには何がいるんだ!?とか、想像が広がります。強い敵がたくさんいるから、頑張ってるんだなあと。

 逆に、毒をもっている生き物って、毒をなくすとなんにもできないヤツらですから(笑)。毒っていうのは、本来弱い奴らが、進化の過程でどうにか獲得した最後の手段だと思うんです。だから、あたたかい目で見てやるようにはしています。

ヤバい生き物その3「ブルドッグアント」

平坂 3つめは毒アリです。特に、オーストラリアにいる「ブルドッグアント」というアリが半端ない!

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 体の大きさが約2センチとものすごく大きいうえに、群れているんです。そして刺されると、スズメバチやアシナガバチに匹敵するほど、めちゃくちゃ痛い。しかも怖いのが、ブルドッグアントは、ピョーンってジャンプするんですよ。数十センチはゆうに飛ぶ。

ブルドッグアント(画像:本人提供)

――アリなのに飛ぶ! しかもそんなに。

平坂 アリって、地面をチョロチョロ歩いているイメージがあるでしょう? でも、ブルドッグアントは飛ぶし、木にも登る。ヤツらがいる木の下を通ると、頭の上から飛んでこられたりして、不意打ちがエグい(笑)。

 このアリを実際に見つけた時、よく見ようとかがんだら、次の瞬間にはもう手の上に乗っていて、あっという間に刺されてしまいました。プロレスと一緒で、技をかけられることがわかっていると構えられるけど、心の準備ができる前に攻撃されると、動揺します(笑)。

――刺されて、どうでしたか?

平坂 ブルドッグアントは下顎がクワガタみたいになっていて、噛みつく力が強いので、なかなか振り払うこともできません。僕は2、3匹に刺されて、脇の下の、リンパ節がある部分が腫れましたね。たくさん刺されると熱が出たりもするらしいです。

 アリって、蜂から進化した生き物で、そもそも毒のタイプや痛み方がよく似てるんですね。場合によっては、アナフィラキシーショックを起こして死に至ることもあるといわれます。そんなのが群れでいたら、怖い。うっかり巣をつぶしてしまったら……と考えると、ゾッとします。

――検索すると、「殺人アリ」とも言われているようですね……。

平坂 でも、かっこいいんですよ。僕、毒があるのって、生き物としてはすごくポジティブな要素だと思っているんです。「特殊能力を持ってる!」と思ってしまう。

 ブルドッグアントはアリのくせにすっごく大きくて、クワガタみたいな顎があって、しかもバッタみたいに飛べる。いろんな虫のいろんな面白い要素を兼ね備えているところが好きなんです。だから僕は刺されても嬉しかったですね。