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貯金箱の中に返らないジャイアンに苦労。こだわったのは…?

――制作の際に一番苦労したのはどの部分でしょうか?

磯辺 やっぱり機構の調整が難しかったですね。ジャイアンが出て来た後にストンと返らず、上に居座っちゃうことが結構あったんです。「これはなにが原因なんだろう」って作りながら考えて。分解して、紙がたわんでいる位置とか、どこで摩擦が起きちゃうのかとか、そういうのを一個一個考えるのがかなり大変でしたね。ジャイアンにスムーズに動いてもらうのが一番大変でした。

 ジャイアンの下に長いフィルムとコインポケットがついていて、滑車のように、ポケットにコインが入ると上下する仕組みなんですけど、そのフィルムが歪んでいると引っかかってしまう。あとは接合部のツメの部分をちゃんとテープで止めてないと、そこが壁に引っかかることもある。そういうのをひとつずつ検討するために、20個くらい作りましたね。直しても直しても、「まだジャイアンが戻らない!」みたいになっていました(笑)。ただ、おかげで完成度はすごく上がったと思います。

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ギミックをしっかり作動させるため、細部まで調整がかかせなかったという ©文藝春秋/平松市聖

――細部までこだわって制作されているんですね。

磯辺 あとは個人的にこだわったのは、硬貨によってジャイアンの動き方を少し変えたところです。入る硬貨の重さによって、ジャイアンが上がって来るスピードを変えたんです。「500円玉だけ特別になるようにしたい!」とワガママ言って、そこはかなり綿密に調整してもらいました。

やっぱり子どもが「10円玉だと2枚じゃないと動かないんだけど、500円玉だと1枚で動くんだよ!」って言えば、大人は500円玉を入れたくなるかなぁと(笑)。

©文藝春秋/平松市聖

――読者の子どもたちやその家族にはどんなふうに楽しんでもらいたいですか?

磯辺 とにかく親戚中でコインを入れて、何回も楽しんで欲しいです。あと、ツイッターとかではおとな向けに「推し活」的なアレンジもできるんじゃないかと言われていて。この付録はお金を入れると“推し”が出てくるシステムなので、推しの写真が出てくるようにして、課金するたびに現れる推しを拝みたい……なんて声もありました。いろんな形で自分なりの相棒として、机の上に置いたり人に見せたりして、家族で楽しんでほしいなと思っています。

撮影=平松市聖/文藝春秋

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