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60歳から“再スタート”した母を手本に

 娘とは今、友達のような関係で、一緒にBTSの動画を見たり、どうでもいい会話をしながら夜遅くまでお酒を酌み交わしたり。親にそんなことまで話す?という恋愛の話もしてくれるので、つい私がアドバイスじみた発言でもしようものなら「ママに恋愛を意見する資格はありますか?(笑)」「はいはい、確かにありませんね(笑)」――そんな関係性です。

 私が読んでおもしろかった本があれば、積極的にすすめるでもなく、よかったという事実だけを伝える。すると、いつしか私の本棚からその本が消えていたり、その逆もまたしかり。いつも一緒にいるわけではないけれど、互いに立ち入りすぎないこの距離感を、私はとても気に入っています。

幼少期の娘、母とのスリーショット ©光文社

 BTSを聞くようになったのは娘の影響でした。年齢を重ねると好奇心が少なくなるといわれますが、正確には、バリエーションがなくなってしまうのかも。その幅を自分で広げるのはかなり難しいでしょうから、そんなとき、感性を刺激し合える仲間がいると、思いがけず人生にうるおいとハリがもたらされることを知りました。

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 私の母は現在84歳ですが、60歳のときに社交ダンスを始め、そこから24年間ずっと続けています。そこで友人関係になった人たちと、旅行だ食事会だと、私なんかよりはるかに行動的で、人生を楽しんでいる様子。「人生、60歳から再スタート!」のお手本のような存在が身近にいると、未来に希望がわいてきます。

 関係性も良好。昔は口げんかになることもありましたが、今はシェアハウスの距離感だからか、互いに必要なときにいたわり合うことができています。娘も独立したとはいえ、なんだかんだと遊びにきてくれますし、おひとりさまの時間が増えたからでしょうか、以前には当たり前で、ちょっと煩わしくもあった家族との時間が、今は何倍にも愛おしく感じるのです。