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 市が行った検証は、海老川上流地区の造成工事の前と後で、浸水想定区域や浸水深がどう変わるのか、ハザードマップを使って比較するというものだった。設定雨量は50年に一度の規模(9時間221mm)と、1000年に一度の規模(9時間516mm)の2つ。検証の外注先は三井共同建設コンサルタント(株)千葉事務所で、県のハザードマップの作成などを請け負っている会社である。

 もし検証の結果洪水の危険があるとわかれば、安全な計画に変更するのが通常の段取りである。付帯意見の真意もそこにあっただろう。市も市民も議会も、固唾をのんで結果を待つ日々が続いた。

「変な数値が出たからやり直しをさせている」

 しかし三井共同建設コンサルタントから検証結果が届くはずだった3月31日を過ぎても、何の動きもなかった。4月中旬、検証の進捗状況を聞くために市に問い合わせると、「変な数値が出たから何度もやり直しをさせている」とのこと。

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「変な数値」という言葉に違和感を感じた。市に都合の悪い結果が出たから、都合のいい結果が出るようにやり直させているということだろうか。

感潮河川の海老川は、晴れていても満潮の時の水位が高い

 結果が出るのが遅れているのは、そのせいかもしれない。三井共同建設コンサルタントは第三者機関ではなく、市からの発注を受けた一企業である。一般的に受注者が発注者の要望に沿った結果を出すことは充分にあり得るため、すぐに三井共同建設コンサルタントに状況を問い合わせたが、守秘義務を理由に回答を断られた。

 市と一緒にこの計画を進めている千葉県の都市計画課にも問い合わせたが、県はこのおかしな動きを把握していなかった。

 さらに取材を重ねると、筆者とは別ルートでやり直しの話を聞いている市民がいることがわかった。その人は情報源を明かすことはできないとしながらも、事業による造成工事の結果、氾濫する場所が出ること、それは「海老川の西側にあたるエリア」であると言った。

 真偽のほどはわからない。しかし水面下で何かが起きている。そう思わざるを得なかった。

後編へ続く)