レイ、カズハ、サクラの経歴
IVEのレイは、中学3年だった2018年に渡韓してスターシップの練習生となった。韓国の高校に通いながら練習を重ね、3年でデビューの座を掴み取った。韓国語を母国語としないにもかかわらず、レイの担当はラップだ。その発音は非常に流暢だと評価されている。ヴォーカルにも長けており、総合的な能力は極めて高い。
LE SSERAFIMのカズハは、幼少期からクラシックバレエを学び、全国コンクールで1位になるほどだった。2020年、オランダに留学しているなか、オンラインでHYBEのオーディションを受けて合格。デビュー半年前の2021年11月に渡韓した。ポピュラー音楽のキャリアが短いにもかかわらず、そのダンスの技術はK-POPでトップクラスの水準だ。
同じくLE SSERAFIMのサクラは、HKT48とIZ*ONEで活動し、今回が3回目のデビューとなる。日韓で複数のグループを渡り歩き、着実にステップアップをしている。今回の再々デビューも、日本ではその年齢によって疑問視する向きも見られたが、その後の活躍によって懸念をあっさりと吹き飛ばした。そのキャリアはすべてにおいて前例がなく、新たに前例を作り続けている印象だ。
K-POPで活動する日本出身者は60人
それぞれ特徴のある3人だが、もっともオーソドックスなルートでデビューしたのはIVEのレイだろう。10代のうちに韓国に渡り、現地で練習を積み重ねてデビューのチャンスをうかがうというものだ。
もちろん練習生すべてがデビューできるわけではなく、途中で練習生契約を解消するケースも多い。たとえばKep1erのメンバーであるマシロは、もともとはJYPエンタテインメントでITZYのデビューメンバー候補だった。
現在、K-POPで活動する日本出身者(在日コリアンも含む)は、確認できる範囲で60人にもなる。これは2年前から倍増しており、さらにその10倍以上の日本出身者が韓国で練習生となっていると推定される。
その傾向としてあげられるのは、約6割が女性であり、2019年頃から急激に増えていることだ。
この大きな要因となっているのは、日本におけるK-POPガールズグループの人気だろう。考えられるのは、たとえば2010年代前半にKARAと少女時代のファンだった小学生が、それから5~6年経った中学や高校時代にTWICEの3人の活躍を目の当たりにし、みずからも渡韓してデビューする展開だ。TWICEがデビューした2015年の4年後から急増していることもそれを物語っている。
もはやK-POPのグループに外国人メンバーがいることは珍しくなく、アジア圏から有望な人材が続々と韓国に渡っている状況だ。そのなかでも圧倒的に多いのは日本出身者だ。しかもAKB48グループの元メンバーのサクラやジュリなど4人が韓国で活動しているように、プロも韓国を目指すようになっている。