古典ブームの中でも、ビジネスパーソンからの注目度が高い『孫子』。そこから「勝つためのヒント」といったテーマに沿って24の言葉を選び、子供向けに“超訳”した本が話題だ。
たとえば、直訳で〈戦いとは騙し合いである〉となる〈兵とは詭道なり〉という言葉は、〈正々堂々はとてもたいせつ。でも、ときにはかけひきも必要だよ〉と“超訳”されている。
「『兵法』という言葉から『戦いの書』のような印象を受けますが、実は孫子の兵法は、できるだけ戦わず、上手くバランスを取りながら生き抜いていくという考え方がベースにあります。ただ子供向けに分かりやすくするだけではなく、そうしたベースとなる発想をしっかり伝えられるような“超訳”にしたいという気持ちがありました」(担当編集者の高野総太さん)
監修はビジネス書の人気著者であり、児童書でも定評のある齋藤孝さん。「こども」と銘打ってはいるが、親子で楽しめる内容を目指して作られ、そして事実、幅広い層に支持されている。
「40代、50代の男性書店員さんの反応がとくによくて、好調な売れ行きはそうした方々のプッシュにも支えられました。おかげさまで、今は大人の読者も多いですね」(高野さん)
10月下旬には第2弾『逆境に負けない力をつける! こども菜根譚(さいこんたん)』も刊行予定。新たな古典の入り口として、親子ともども要注目のシリーズになりそうだ。
2016年3月発売。初版2万部。現在四刷7万5000部