原始仏典に学び、宗派に属さず活動する僧侶の書いた、一風変わった仏教本がロングセラーになっている。
「著者いわく、原始仏典に書かれたブッダの考え方というのは、物事を合理的に理解し、考え、具体的な方法論で問題を解決するためのものなのだそうです。宗教で悩みを解決するというと、漠とした心の持ち方を説くと考えられがちですが、そうではない、と」(担当編集者の間[あいだ]孝博さん)
実際、「自分はいま◯◯している」と心の状態を言葉で確認することや、手のひらや足の裏の感覚を意識しながら体を動かすことで心を落ちつけるといった、物事に無駄に反応しないための方法が盛り込まれている。
「反応しない」という言葉への共感もヒットの一因か。
「この本はネットメディアとの親和性が高いんです。ネットメディアに草薙さんの文章やインタビューが掲載されると、大きな反響が起こって、本の売上も伸びる。そういうサイトをチェックする人というのは、おそらくネットに接する時間の長い、情報に反応し続けている人が多い。その中には、今の状態をまずいと感じている人も多く、そこに響くのかな、と。この本は電子書籍のダウンロード数も3万を超えていて、それもITに関わりの深い読者に響いている証拠ではないかと思います」(間さん)
今年4月には、より実践的な内容の第2弾『これも修行のうち。』も刊行。こちらも順調に版を重ねている。
2015年7月発売。初版5000部。現在12刷6万1000部