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【10区】勇退を決めた駒大・大八木監督の「本当の勝利」

西本 本来でしたら総括的な話をした方がいいと思うのですが、このタイミングで大八木監督の勇退のニュースが飛び込んできたので、もうこの話に尽きるなと。

ポール 間違いないですね。

西本 僕は自宅近所の砧公園でジョギングしているときに、同じ公園で練習する駒澤大学を知り、それを入り口に箱根駅伝にのめり込んだ人間で、2008年から15年、ずっと公園に立つ大八木監督を見てきたことになります。ただ、僕が見始めてから、駒澤大学は長い間、箱根総合優勝から遠ざかっていた。かつての大八木監督は厳格な指導スタイルで知られていたため、リクルーティングに苦労したこともあったようです。

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 一昨年の第97回大会では、13年ぶりに総合優勝を果たしましたが、これは創価大学が最後に失速した影響が大きく、本当の勝利とは言えなかった。その大八木監督が今回、選手を温かく見守りながら、クレバーさを発揮して“本当の勝利”を手にしたのです。

総合優勝を果たした駒澤大。ゴールテープを切った青柿響 ©️時事通信社

ポール ゴール後のシーンは本当に感動的でした。

西本 選手たちが自ら「三冠を取りましょう!」と言ったことで、大八木監督に火がつき、みんなが活躍できるような組織を作り上げた。力尽きて終わるのではなく、やりきって去るというとても良いものを見せてもらったと感じています。

総合優勝を果たし、胴上げされる大八木監督 ©時事通信社

 今後大八木監督は何を目指すのか。昨年の世界陸上で世界との差を思い知らされた田澤選手をワールドクラスの選手にするために、尽力することでしょう。箱根駅伝のテーマである「箱根から世界へ」という言葉に今、一番近いのが大八木監督だと僕は思っています。

大八木監督

構成/林田順子(モオ)

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