1ページ目から読む
4/6ページ目

箱根駅伝初登場の“謎シューズ”

 箱根駅伝初登場のメーカーもありました。

 それが関東学生連合の慶應義塾大学4年、貝川裕亮選手が履いたアンダーアーマーです。ところがこのシューズに関する情報が全くなく、唯一アンダーアーマーの公式ツイッターで貝川選手が履く画像と動画がアップされているのみ。モデル名も、商品の特徴も分からず、本人が気に入っているのか、ブランドからのプロモーション的依頼があったのか、真相はわかりません。とにかくアンダーアーマーのシューズが箱根の舞台に立つことが狙いだったのかもしれません。

出場全選手中唯一アンダーアーマーを履いた貝川(関東学連・慶應大)©️末永裕樹

来年はミズノがゼロという危機が?

 そして最後に、ちょっと心配なのがミズノです。

ADVERTISEMENT

 3年前の第96回大会(2020年)は一瞬ミズノに注目が集まった年でした。多くの選手がナイキの厚底を履くなか、創価大の嶋津雄大選手がミズノの薄底プロトタイプを履いて、10区で区間新記録を叩き出したのです。あのときは「あの、シューズは何だ!?」と話題になったものですが、今大会でミズノを履いたのは、その嶋津選手ただ一人。

ミズノのシューズを持つ嶋津(創価大)©️EKIDEN NEWS

 嶋津選手が今回履いたのは、3年前に履いていた「ウェーブデュエルネオ」。ローカットタイプのカスタマイズモデルでしょう。ちなみにミズノは踵部分のソールをカットした画期的な「ウエーブリベリオンプロ」という商品を出しましたが、こちらも誰も履いていませんし、ニューイヤー駅伝でもミズノを着用している選手は見かけていません。

 嶋津選手は今年で大学を卒業します。となると、来年はミズノがゼロという危機が現実味を帯びてくるわけです。箱根におけるミズノはただの一メーカーではなく、オフィシャルスポンサーです。EKIDEN Newsとしては、嶋津選手からミズノを継承してくれる選手が誰か現れてくれないかと願うとともに、ミズノが箱根駅伝をスポンサードする意味をもはや見出せないのではないかと心配もしてしまうわけです。

 シューズから見えてくる大人の事情……来年の箱根駅伝もまだまだシューズから目が離せません。

構成/林田順子(モオ)