需要回復が見込めるホテルマーケット
いっぽうで息を吹き返しつつあるのが、ホテルマーケットだ。今年は外資系高級ホテルの開業ラッシュともいえる年だ。東京ミッドタウン八重洲の上層階にはブルガリホテル、麻布台プロジェクトにはアマンのニューブランドであるJANUなどの新顔がお目見えする。
東京だけではなく、最近は積極的に地方都市へ進出することも話題だ。富山ではヒルトン系のダブルツリー、鹿児島にはシェラトン、福岡にはリッツカールトンがオープンする。リゾート地でも沖縄でヒルトン沖縄宮古島リゾートがオープン予定だ。
ビジネスホテルはオンラインミーティングの普及に伴う国内外出張減少の煽りが続きそうだが、インバウンド顧客は、中国政府のコロナ対策が緩和されれば、爆発的な需要回復が予測される。観光客との両立ができる地域のビジネスホテル、地方の旅館などは業績を回復するチャンスがありそうだ。
二極化が予想される商業施設
商業施設の今年は二極化しそうだ。高額商品などを扱う百貨店、物販店などは好調を維持しそうだ。日本人の資産格差は広がるいっぽうで、富裕層によるコロナ明けの消費の活発化は世界でも明らかになっているように、国内富裕層にインバウンドの動きが加わって活発になることが予想される。
いっぽうでスーパーマーケットなどのコモディティを扱う業態では増税や物価高などの影響が直撃しそうだ。金利の上昇は、制限いっぱいの住宅ローンを組んでいる消費者の消費行動を制約することになる。コロナ禍では臥薪嘗胆を余儀なくされた百貨店が笑い、スーパーが臍を噛むのが2023年商業施設マーケットだ。
以上、当たるも八卦、当たらぬも八卦だが、根底に流れているのが日本社会の二極化への変化だ。富めるものには優しく、貧しいものには厳しく、がどうやら基本方針のようにも見える現在の国や大企業を頂きとした企業社会を前提にするかぎり、不動産業界はますます金持ちに寄り添った事業展開を加速させていく1年になるはずだ。