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自宅でのケアの仕方

『退院後のがん患者と家族の支援ガイド』(日本ホスピス・在宅ケア研究会編)

 患者に自宅に帰りたいといわれて不安を覚える家族もいるだろう。そんなときに、強い味方になるのが『退院後のがん患者と家族の支援ガイド』(日本ホスピス・在宅ケア研究会編/プリメド社)だ。

 患者と家族の意思が一致しない場合にどうすればいいのか、夜中に苦痛を訴えたときに家族にできることなど、具体的な状況別に細かい指摘があり、たいへん参考になる。

 また、お金についての記述もあり、在宅治療を選択するときに一読を勧める。

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がんといわれても明るく生きる

『「がん」はいい病気』(丸山寛之 著)

『「がん」はいい病気』(丸山寛之/マキノ出版)という本はとにかく明るい。

「しかし、まあ、なんとよく病気をするものだ。肝囊胞、前立腺がん、失聴、尿管がん。私は、学歴は貧しいけれど、病歴は輝かしく豊かなのである」

 がんになるとともに、耳も聞こえなくなった著者。二重苦三重苦のはずなのに明るいのだ。

 前立腺の病気は尿もれという厄介な症状を引き起こすが、著者も検査を受ける日に駅でトイレに間に合わず漏らしてしまう。本来なら、あまり書きたくないこともありのままに書いてある。シリアスなはずのがん患者の話なのに、わたしはあちこちで笑ってしまった。がんといわれたショックを受けとめるためには、こうした方法もあるのだ。

『また もりへ』(マリー・ホール・エッツ 著)

 笑うということで、紹介したいのが『また もりへ』(マリー・ホール・エッツ/福音館書店)という絵本だ。

 主人公の子どもが森の中でいろいろな動物と出会い、それぞれが自慢の「芸」を披露する。子どもは自分の番になると、逆立ちをするのだが、なぜかおかしくなって笑ってしまう。これが動物たちから「いちばん」だといわれるのだ。ほかの動物には笑うことはできない。人だけが笑える。

 笑いは、他人はもちろん、自分も楽しくしてくれる。笑うふりをするだけでもいいといわれているが、がんといわれ、落ち込んだときにもちょっと笑うこともしてみたい。

 落語を聞きにいくでも何でもいい、少しでも笑うようにつとめよう。人だけにできることなのだから。

 もうひとつ、写真集。

 写真ももちろんいいのだが、『星空の歩き方』(林完次/講談社)は写真の間にある文章もいい。この本は、「週刊文春」で連載していた山﨑努さんの書評で知った。

『星空の歩き方』(林完次 著)

「夜空を見上げる……、星が瞬く。ただそれだけのことなのに、ゆっくりした時間が流れる」

 こんな時間を大切にしていただきたい。

 ダライ・ラマが、時間はすべての人に平等に流れる、自分の時間にすることも、楽しい時間にすることもその人次第といっていたが、がんになっても、自分の時間を大切にしてもらいたい。そのために、この本を紹介した。

 がんといわれた人、これから治療を受けようとしている人、いま治療中の人、治療が終わった人。その家族。がんは、「新しい人」を生むといったのは、『がん患者学』(晶文社)の著者柳原和子さんだが、新しい生き方を身につけ、新しい人生を送ってもらいたい。