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 その店は駅ビルを降りたすぐ前の道を渡ったところにある「ソフトクリームショップ モーモーズ逗子店」で、そのオーナーの岡田森夫さん(58歳)が「浪子そば」の経営者でもある。大変、ポジティブな方で我々を笑顔で迎えてくれた。そして、そこでうかがった話はなかなか感動的であったので簡単に紹介しようと思う。

「ソフトクリームショップ モーモーズ逗子店」とオーナーの岡田森夫さん(58歳)

「浪子そば」が創業したのは1976年。新逗子駅がまだ地上駅で店は改札の隣にあった。当時の経営者は山口さんという方だった。

 岡田さんは小学生の頃、逗子に引っ越してきた。中学生時代には仲間で「浪子そば」を食べに行って、うまかったという強烈な印象があったそうだ。それから、学生時代もずっと食べに行っていたという。筋金入りの常連だった。

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 岡田さんは社会人になり食品関係の会社に就職したのだが、「いつか大衆そば・立ち食いそば屋をやりたい」という思いがどんどん膨らんでいったという。

岡田森夫さんは熱いおとこである

2016年に「浪子そば」をリスタート

 新逗子駅が高架構造になり、北口に「ニート新逗子」ができたのが1991年。京急三浦海岸駅でソフトクリーム屋台を2010年と2011年の夏に出店したことがきっかけで、2014年4月、岡田さんがいよいよ「浪子そば」を経営することになった。初めは「えきめんや」のグループとしてスタートしたが、2016年、独立する形で「浪子そば」をリスタートすることになったという。

 その頃、初代の経営者の山口さんはすでに亡くなられており、2014年に墓前に報告に行ったそうである。その時、かけた言葉が次のようなものだったそうだ。

「山口さん、僕のことわかりますか? 中学生の頃から食べに行ってたからわかりますよね? 縁があって今度、浪子そば、僕がやることになりました。空からの応援をよろしくお願いします」

ソフトクリーム屋は2006年から、「浪子そば」は2014年から

「立ち食いそばは出汁つゆが命」

 そして、岡田さんは出汁や返しの味の向上にとりかかった。「立ち食いそばは出汁つゆが命ですから」と岡田さんは何度も繰り返す。「駅そばで枯れ節を使いたい」という目標をかかげ、宗田節生産全国70%の高知県土佐清水市市役所や観光協会に手紙を送り協力要請し、高知に乗り込み商談するなどして奔走した。