人の話を聞けないのは自分の話を聞いてもらえていないから。だからこそ「聞く」と「聞いてもらう」両方の技術が必要――。そう心理学者である著者が説く本書が話題を呼んでいる。
「“聞く”は鉄板のテーマですが、臨床の現場のテクニックが出てくる本はほとんどありません。そこで本書は、著者が20年近い経験で培った『聞く技術』と『聞いてもらう技術』を、すぐにでも実践できる『小手先編』としてユーモアを交えて紹介しています」(担当編集者の柴山浩紀さん)
「相槌のパターンを作ろう」とか「ZOOMで最後まで残ろう」など、一見、普通に思える項目が並ぶが、読み進めるうちに著者の意図が見えてくる。加えて朝日新聞に連載された「社会季評」と、その評論を噛み砕き、発展させた解説によって、現代社会における人間関係の課題が感じ取れる。
「著者は比喩が上手で、専門知識もわかりやすく書いているので、実践の場で“使える”本になると思いました。そこで見出しを細かく入れるなど、実用書のような作りを意識しています。帯にコメントをいただいた阿川佐和子さんは、『昔の人が井戸端会議でしていたようなことだけれど、今の人はこういうこともできないくらい苦しいんだね』とおっしゃっていました。聞く・聞いてもらうに悩みを抱えている人に、役立ててほしいです」(柴山さん)