理由1:大手アダルトサイトの方針転換
1つ目は『Pornhub』が2020年末に行った、大規模な運営方針転換でした。
2020年末、アメリカの『ニューヨークタイムズ』紙に『Pornhub』に対する告発記事が掲載されました。
『Pornhub』上に“未成年や本人同意のないアダルト動画が配信されている疑義がある”というのです。反ポルノ団体をはじめアメリカ国内から批判の声があがりました。運営会社は即座にその疑義について否定しましたが、批判の声は収まりません。
当時の『Pornhub』は、確かに“誰でも、どんなアダルト動画でも配信・公開できる”状態でした。ほかのアダルト動画サイトも同じような状況で、ある意味、無法地帯。運営のガイドラインが非常に緩く、イリーガルな動画も配信し放題、配信者の承認や管理も甘かったのは確かです。
批判の声が大きくなって、サイト閉鎖などに追い込まれたり大規模訴訟を起こされる最悪の事態を恐れた運営会社は何をしたか?
公開されていたアダルト動画のうち、“ヤバそう”な不適切動画を全て自主的に、一斉削除してしまったんです。自主規制された不適切動画の中には、日本のAVメーカーが制作・販売した商品の違法アップロード動画も含まれていました。著作権を侵害しそうな動画も全て排除することで、運営会社が自浄、法令順守の姿勢を示したわけです。
ところが、その前代未聞の自主規制の結果、問題発覚前は1350万本程ほどもあったアダルト動画が470万本にまで激減。『Pornhub』は収入源の66%を失ってしまったんです。
同時に動画配信者の身元確認も一気に厳格にしたため、コンテンツ供給者も減ることに。商品が入ってこないわけですから、サイトとしては存続の危機に立たされたのですが、この自主規制が行われたことで、これまでプロが送り出した商業コンテンツがあった場所に、ぽっかりと大きな“スペース”が生まれました。
そこに入っていったのが、アマチュアの配信者たち――Pornhuberだったというわけです。プロが(一時的に)いなくなったことでアマチュアが参入するチャンスが生まれました。