2009年に脳梗塞で左脳の4分の1が壊れて失語症になり、メディアから姿を消した、「OL委員会」の人気コラムニスト清水ちなみさん。その闘病記を綴った『週刊文春WOMAN』の連載が『失くした「言葉」を取り戻すまで 脳梗塞で左脳の1/4が壊れた私』として、ついに単行本になりました。
そんな清水さんが、かつて言語のリハビリに通い、“私のサリバン先生”と慕っている言語聴覚士・小嶋知幸先生のもとへ、夫のタケシさんと一緒に話を聞きに行きました。(全3回の1回目。#2、#3を読む)
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人はどのように言葉を失い、取り戻していくのか
小嶋 『週刊文春WOMAN』の連載、毎回読ませていただいていました。原稿を書くというのは最高のリハビリですよ。
ちなみ やっぱりそうですか! 依頼をいただいたとき、書けるかどうかすごく悩んだんです。最初はすごい大変で。
タケシ いま、清水ちなみの連載を書籍化する作業を手伝っているんですが、 「脳梗塞で失語症になったコラムニストが言葉を取り戻していく」というところがこの本のメインテーマになると思うんです。なので、「人はどのように言葉を失い、取り戻していくのか」を彼女の言語回復に携わった小嶋先生に教えていただきたいと思って、やってまいりました。
小嶋 記録を見ると、最初にお目にかかったのは、2012年11月1日と書いてありますね。
タケシ くも膜下出血の手術をしたあと脳梗塞になって、それが原因で失語症になったのが2009年の12月だから、発症して3年近く経ってから伺ったんですね。ホームドクターからの紹介でした。
ちなみ そのときの私の状態を、先生はどう見ていましたか?
小嶋 清水さんの場合は、初めてお会いしたときにご自身の職業のことも説明できていましたし、そんなに悲観的な印象ではなかったです。だけど、「雑誌に連載記事を書けるようになるか?」とあの時問われたら、私はとても困ったと思います。即答はできない。
タケシ だからこそ、彼女が書いたものを見て……。
小嶋 それはもう、涙しましたよ。
ちなみ わあ。