一緒にホストクラブのある歌舞伎町に向かう。挨拶しても、声をかけても、反応は薄く表情も乏しい。職安通りの坂道を下りながら、さっそく話を聞いた。
“風俗女子会”がきっかけでホスト通いにドハマり
「ホストクラブに行くようになったのは、一昨年(2020年)の10月くらい。大学時代から風俗は少しやっていたけど、ホスト行くようになってガチで働くようになった」
話してはくれるが、ものすごく声が小さい。生きるエネルギーみたいなものを感じない。マスクで隠れているせいもあって、表情もない。声が聞こえないので、歩きながら彼女に一歩近づく。
「2年前、同業の友達が欲しくなってツイッターを始めた。SNSで何人かの女の子と知り合って、中心人物みたいな子が誕生日だっていうので歌舞伎町で女子会をやった。その日、みんなでホストクラブの『初回』に行くことになった。それが初めて」
風俗嬢は客と1対1で行う仕事なので同僚との人間関係が生まれにくい。風俗嬢が同業の仲間を求めてSNSを活発に使うのは流行っていて、彼女は2020年10月にツイッターで交流のある6人と開催した風俗嬢女子会に参加している。
東新宿にあるダイニングバーでワイワイしているうちに、全員でホストクラブに行こうという話になった。6人のなかでホスト経験がないのは彼女だけで、楽しいから絶対に行ったほうがいいと全員に薦められた。
「その日、初めてホストに行った。ホストクラブなんて全然知らないから、その日はけっこう緊張したかな。初めて会った友達も何人かいたし、いろんなホストが席に来て、普通に会話して終わった。そのときにLINE交換した人(ホスト)に一人で来なよって呼ばれるようになって、毎日営業してくるのでまた行ってみようかなって感じで行った」
ホストは初回だけは1000円、2000円という安価で遊べる。代わるがわるホストが席にやって来て、顔合わせ的に挨拶して短い会話をする。そして、2回目以降にそのホストクラブに行くとき、誰かを指名しなくてはならない。ホストクラブは永久指名制。一度指名すると、その店では指名したホスト以外を指名することはできなくなる。女性たちは指名しているホストのことを「担当」、担当は指名してくれた女性を「姫」と呼ぶ。