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 翻って、私とマッチングした女性とのメッセージのやり取りの記録を見直していくと、なかなかにひどいものだった。

 多くの女性がダイビングやフィットネス、海外旅行について関心を持ってくれているのに、私はろくなことを話せていないのだ。ダイビングやフィットネスは始めたばかりの付け焼き刃であり、海外旅行は実際のところ、学会報告の出張でしかなく観光はほとんどしていなかった。

 せっかくプロフィール上の「私」に興味を持ってマッチングしてくれたのに、実際の私はメッセージのやり取りを通じて「特別な体験」を女性に提供できていなかったのだ。

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 これでは詐欺と思われてしまうかもしれない。

 というか、ほとんどそうなのだが……。

 とはいえ、ここで折れるわけにはいかない。付け焼き刃の薄っぺらい自分を受け入れた上で、それを克服する方法を考えていかねば、結婚どころか、女性と出会うというステージにすらたどり着かないのだ。

 それでは、どうすればよいのだろうか?

 この1 ヶ月、マーケティング論の知見に基づいて試行錯誤を繰り返し、一定の成果を得てきた。しかし、この先はマーケティングの知見を応用するだけでは、婚活は難しいように思える。どうやらここからは、異なるアイディアが必要なようだ。

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※1 マーケティング活動に不可欠な要素。「製品」Product、「価格」Price、「広報」Promotion、「流通チャネル」Placeと「顧客価値」Customer value、「顧客コスト」Customer cost、「顧客利便性」Customer convenience、「コミュニケーション」Communicationのこと。

※2 STP分析のこと。コトラーが提唱したマーケティング手法で、セグメント化、ターゲット選定、ポジショニングの3つの手順で行われる。