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恋愛経験値ほぼナシの35歳大学教授がマッチングアプリに挑戦して気づいた、女性が「イケメンで高収入の男性」を求める“当然の理由”

『大学教授がマッチングアプリに挑戦してみたら、経営学から経済学、マーケティングまで学べた件について。』より#2

2023/01/26
note

 婚活が「高収入を稼ぐ男性を捕まえる活動」として定着したのは、見方を変えれば男性が財力を武器に女性の若さと美貌を買おうとしてきたからだろう。

「性の商品化」と言われるものだ。女性が「美貌と若さをレバレッジに最大限の利潤を獲得しようとする」ことと、男性が「自らの財力を駆使して、マッチングアプリで恋人・結婚相手探し以外の性的欲求を満たそうとする」ことは、表裏一体の出来事なのだ。

 同時に、「マッチングアプリ」の登場は、あらゆる面で女性を良い意味で解放しているのではないだろうか。

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 日本で見合い婚が衰退し、自由恋愛による結婚が主流化して以降、一貫して年の差婚の数は減り続けているらしい。

 乱暴に言ってしまえば、

「断れない形で、ブサイクなオッサンとお見合い結婚を強いられていた女性が、選べるなら同年代のより若くイケメンで、経済力もある男性と結婚したい」

 というある種当然の帰結に至ったのではないだろうか。

©AFLO

 おそらく、マッチングアプリという武器を手に入れた女性は、冷静に「商品化された自分の性」を値踏みして、適切に利潤を手にする時代になったのだろう。

 ※関口文乃(2010)「婚活ブームの二つの波:ロマンティック・ラブの終焉」山田昌弘(編)『婚活現象の社会学』東洋経済新報社, pp. 121-160.

罪悪感と経験値不足(2022年12月2日)

 色々考えた結果、Tさんに対して誠実にあるべきだ。

 そう考えてアプリの利用は一時停止した。彼女はパパ活を目的とした女性と違うのだし、少なくとも、将来の結婚に対する意思があることを述べていたのだから。

 そして私のアプリ婚活も、ある程度の局面を迎えているのだから、一時的な気の迷いで変な行動をしてはいけないと思う。

 とはいえ、TさんとLINEでやり取りしたり、実際にあって会話をしていても、どこか空虚な感情に襲われている。

 私が目の前の彼女を信じられないだけでなく、アプリを通じて女性と出会おうとしている私自身が、性の商品化を推し進めているように思えて、後ろめたく感じてしまうのだ。

 その結果、Tさんと食事デートをしている最中でも、あまり会話が弾まない時間が生まれていた。

 彼女も、そう毎回悩みを私に相談したり、職場で問題を抱えたりしているわけではない。結局、お互いの一通りの生活や趣味が分かってしまった後、話すことが無くなってしまったのだ。

 そのような状況もあって、立場と年収だけを携えて挑んだ人間である私と、継続的に会ってくれる彼女には感謝しかなかった。