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“味あり”美少女イラストを描いていたら『タモリ倶楽部』に出演…タモリに会うよりもコミケを選んだ伝説のハガキ職人(55)の言い分

“味あり”美少女イラストを描いていたら『タモリ倶楽部』に出演…タモリに会うよりもコミケを選んだ伝説のハガキ職人(55)の言い分

伝説のハガキ職人・三峯徹さん #2

2023/01/22

genre : ライフ, 社会

大事にしていた膨大なコレクションが捨てられていた

――ひとり暮らしですよね? さらに48歳で病身となると、なにかと辛かったんじゃないですか。

三峯 脳梗塞の後遺症で左半身の麻痺が残ってしまったので、退院後しばらくは兄貴夫婦の家に移って療養したんです。けれども、今度は持病の喘息が悪化してまた入院することになって。そこから3ヶ月はリハビリしてましたね。

 で、動けるようになったんでアパートに戻ったら、部屋がきれいになっていて。俺が療養とリハビリをしている間に兄貴や妹夫婦が片付けてくれていたんですけど、要は断捨離で大事なものを捨てられたというね。

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 投稿イラストが掲載された雑誌の切り抜きコレクションにはじまって、単行本、DVD、漫画家のサイン色紙がなくなっていたと。スッカラカンというわけではないけれど、あまりに膨大なコレクションだったので、かなりショックでしたね。

©文藝春秋

「家族バレ」の瞬間

――ご家族が強制断捨離したことで、三峯徹としての活動もバレた。

三峯 そこでバレました。でも、俺が絵を描いているのは知っていたと思うんです。あの「朝顔イラスト」は狭いアパートで家族一緒に暮らしていた頃の作品で、母や妹の横でカリカリ描いてましたんでね。ただ、イベントをやったり、テレビに出るほどまでになっているとは知らなかったんじゃないかな。バレたことで『タモリ倶楽部』に出た時のビデオを見せてよなんて言われましたけど。

 俺が三峯徹だと最初に気付いたのは、妹の夫。部屋にあった描きかけの“三峯ギャル”を見て「あ、この絵なんか見たことある!」「義理の兄は三峯徹では……」と思ったらしいです。

 それを機に、義弟との距離は縮まったところはありますね。明らかに、俺を見る目が尊敬の眼差しに変わりましたしね(笑)。それでも他の家族はガンガン捨てていきましたけどね。しかも、俺の目の前で。イラストが載ってる雑誌を縛ってゴミに出しちゃってましたもん。

©文藝春秋

――妹の夫という近しい存在から尊敬されるのは、感慨深かったのでは?

三峯 「朝顔イラスト」が掲載された頃に妹から「エロい本ばっか買って、よく分からないハガキなんか描いてダラダラして……もっと大きな人間になってよ!!」と叱られてますからね。それを考えると、妹の夫が向けてくれる眼差しは嬉しいですよ。

――伝説のハガキ職人として『タモリ倶楽部』にも出られるようになったわけですし、“大きな人間”になれたのでは?

三峯 そういった評価は自分が死んでからにでもしてもらえれば。いま思えば、妹は心配して言ってくれたんでしょうけどね。でも、当時の俺は単純に怒られているだけで「うるさいなぁ」くらいにしか受け止められなくて。もうすこし落ち着いて、妹の話を聞いてればよかったですけどね。

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