「退職代行」とは、その名のとおり本人に代わって退職の手続きを代行するサービスだ。最近ではメディアでも取り上げられることが増え、その名前を耳にしたことがある人も多いのでは。しかし同時に、会社とのトラブルを不安視されたり、「違法ではないか?」と批判されたりすることもある。
そもそも、退職代行とはどんなサービスなのか、何ができるのか。退職代行を専門とする弁護士で、漫画『さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」』(少年画報社)の監修を担当した竹内瑞穂さんに話を聞いた。(全2回の1回目/2回目に続く)
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本人に代わって有給消化・退職金の交渉や、パワハラ・セクハラの訴訟が可能
――まずは、「退職代行」とはどのようなサービスなのか教えていただけますか。
竹内瑞穂(以下、竹内) 一言でいうと、従業員の代わりに会社に対して退職の意思を伝えるサービスです。弁護士が提供しているもののほか、民間企業や労働組合が提供しているものもあります。
――弁護士が提供するものと、それ以外ではどんな違いが?
竹内 弁護士の場合は退職の手続きのほか、本人に代わって有給消化や退職金の交渉をしたり、パワハラやセクハラがあった場合に訴訟をおこしたりすることもできます。
――弁護士以外のものだと、交渉や訴訟はできない?
竹内 一部、労働組合が提供している退職代行だと交渉が認められている場合もありますが、基本的には弁護士のみですね。民間企業さんのサービスの内容は残念ながら把握しておりませんが、法的なアドバイスの提供や、代理人としての交渉や訴訟は弁護士だけに認められている業務なので、資格がない方がしてしまうと、違法になってしまいます。弁護士に依頼された場合には、全ての手続きを適法に、有効に進めることができます。
――弁護士に依頼すると幅広い業務に対応してもらえるんですね。
竹内 そうですね。ご本人からの委任があれば、代理人として様々な手続きが可能です。会社に置いてある荷物を代わりに受け取りに行くとか、社員寮の立ち退きも本人の代わりに立ち会うことがあります。
――弁護士に依頼する場合の費用相場はどれくらいなのでしょうか。