竹内 退職代行の認知度があがってきたからだと思います。退職代行の存在をなんとなく知っているから、取り返しがつかなくなる前に「そういえばそんなサービスがあったな」と思い出してくれて、相談に来てくれる人が増えているのではないかな、と。
3年前は、「明日死のうと思って死に方を検索していたら、偶然退職代行を見つけたから相談に来ました」という方も多かったですから。
退職代行の認知度向上による企業側の変化も
――カジュアルに退職代行を使う人が増えたことに対しては、どう考えますか?
竹内 退職代行を使えば、自分で交渉しなくても希望の日に退職できるし、確実に有給も取得できます。退職までの時間を有効に使っていただけると思います。
――企業側では、退職代行を利用した退職への反応に変化はありますか?
竹内 ありますね。始めたばかりのころは、依頼者の意思を会社に伝えると、「なんだそのけしからんサービスは」って怒鳴られることも多かった。でも今は、「はいはい、退職代行さんね」とスムーズに手続きできることがほとんどです。
あと、特に大きい企業の場合、退職交渉のやりとりは直属の上司ではなく人事部と行うのですが、「人事部が気付けなかっただけで、部署内でトラブルがあったのか」と気にするところも増えてきていますね。わざわざ弁護士をつけて退職交渉をしてきたってことは、パワハラやセクハラ、いじめがあったんじゃないか、と。
法律上は会社を辞めるのに理由は必要ない
――コンプライアンスを気にする企業が増えてきているんですね。
竹内 そうですね。「辞める理由を教えてください」とはよく聞かれるかもしれません。でも本人の同意なしには、会社にはお伝えしません。
「当たり障りのない理由を適当に伝えておいてほしい」と希望されるならそのとおりにしますし、逆に「パワハラがひどかったので、それをしっかり伝えてほしい」と希望されるのであれば、ストレートにお伝えします。