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苦い思い出となったヘアヌード写真集

――2017年2月に出版されたヘアヌード写真集「1262」は奄美大島での撮影でしたね。あれは東京に戻ると決めての撮影だったんですか?

佐藤 いいえ。せっかく奄美大島に住んでいたので、奄美でできる仕事って何だろうって思って、自分の体を通して奄美と東京の違いを表現しました。撮影時はまだ決まってなかったですけれど、心はどっかで先に向かってたのかもしれないですね。

2017年に出版された写真集「1262」(光文社)

――なぜ、ヘアヌードだったんですか?

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佐藤 ヘアヌードじゃなくても私はいいと思ってました。ただ、一度ヌードになると、それ以外では写真集を出せないという風潮もあるじゃないですか。私自身はどこかで違和感もありました。必要じゃないのに、とりあえずヌードはありきで、という感じがそこはかとなくあったので。

 なので、自分的には写真集は若干苦い思い出です。ただ、気持ちよく撮れた写真集が作品として良いとは限らないんですけれど。

「1262」のときはちょうど息子に母乳をあげてる時期で。出産後のホルモンバランスや、揺れ動く感情と人間と動物の狭間のような感じでした。苦い思い出はあれど、後悔してるってことはないですね。

――写真集「1262」を見た時、悲壮感というのは若干感じていました。目が少し死んでるというか、ほんの少し写真から伝わる部分でしたが、そうした背景があったのですね。

佐藤 今、ヌードをやってくださいって言われたらやらないです。今はやりたくないって思ってるから。でも思ってることはいつも一緒ではないじゃないですか?  今、どう思ってるかを大事にしたいと思ってます。

 もし、次に写真集を作るとするならば、自分が持っていたいって思うような写真集を1冊作りたいです。別にヌードがあってもいいんですよ。でも、本を出すためにヌードが必要とか、そういうのじゃなくて。どこかに引っ越すときも、いつも自分でちゃんと持っていたいって思える本をつくりたいな。