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住宅ローンの「控除引き下げ」と「金利上昇」

 すでに昨年からは、住宅ローンに関する所得税の税額控除も、12月末時点のローン残高の1%が控除できたものが、0.7%に引き下げ(控除期間は新築で13年に延長)られている。

 そして今年は住宅ローン金利が上昇する可能性についても心配する声が出始めている。すでに固定金利のローンについては引き上げられ、今後短期プライムレートが上昇すると、変動金利扱いのローンも金利上昇が避けられなくなる。

 住宅購入を取り巻く環境について、どうやら今年は悪化することが想定されるのである。不動産経済研究所の発表によれば2022年における首都圏(1都3県)新築マンション供給戸数は3万800戸と前年比8.4%の減少となる予測だ。そして今年は3万2000戸と前年比3.9%の供給増を予測する。

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今年の住宅マーケットは“視界不良”

 年の前半の住宅資金援助終了前の一定の駆け込み需要は期待されるものの、引き渡しが来年3月15日以降のものが主体になる今年のマーケットは予断を許さない。

 物価高というトレンドが明確になり、ローン金利の上昇が避けられず、住宅資金贈与の非課税も認められないことになれば、給与などでよほどの大盤振る舞いがない限り、消費者の住宅購入熱には冷や水が浴びせられる可能性が高そうだ。金利の上昇は一般需要層のみならず、これまで活発だった投資家層の行動を妨げる可能性もあり、今年の住宅マーケットはやや視界不良の状況にあるといってよいだろう。

 2013年以降、一方的に価格上昇を続けてきた住宅マーケットは、住宅資金贈与などに対する国の関心や姿勢も含め、そろそろ曲がり角に差し掛かっている。マーケットはマーケットを取り巻く環境が変わると、あっというまに変わる。今まで大丈夫だったから、という理屈は一切通用しない。慎重に買い物をしたいものだ。