自衛隊で異例の幹部人事が行われたのは、昨年12月23日のことだった。海上自衛隊第5航空群の降旗琢丸(ふりはたたくまる)群司令(肩書き当時=50)が、着任から僅か9カ月で交代となったのだ。

 防衛省関係者が言う。

「第5航空群の拠点は沖縄県の那覇基地。台湾有事に備え、南西諸島の警戒監視にあたる航空部隊です」

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海上自衛隊那覇基地に駐機するP3C哨戒機 ©時事通信社

 総勢800人を束ねる降旗氏は階級で言えば、海将に次ぐ海将補。海自全体(4万3000人)でも50人程度しかいない中枢ポストだ。

「海上幕僚監部防衛課などエリートコースを歩んできた。世界中から将官を目指す有望株が集まる英王立国防大への留学経験もあり、将来の海上幕僚長候補と目されていました」(同前)

 その彼に一体、何が起きたのか。降旗氏が群司令として着任したのは、昨年3月末のこと。直後から、こんな指示を出していた。

「崇高な第5航空隊で搭乗員がコロナ感染するなんてあり得ない。感染者はボーナス査定を外して下さい」

 第5航空群関係者が嘆く。

「群司令には、通常のボーナス額に一定程度上乗せできる権限がある。でも“感染したら上乗せ分はゼロにしろ”と。そんなことが許されるのでしょうか……」