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担任は逆ギレ気味に謝罪

 さて、被害直後、野島さんは別の教諭に相談をした。「お母さんに相談しなさい」と言われ、帰宅後、母親に話をした。母親に素直に話すことができたのは、小2のときの痴漢被害があったことも一因だ。

「『痴漢は犯罪』というポスターをよくみていました。小2のときも、痴漢がいけないことだと知っていました。そのため、自分の中では(痴漢は)大きいことだったのです」

 翌日(土曜日)の授業終了後、相談をした教諭に母親が電話をした。すると「管理職ではないので判断できない」というので、副校長を呼ぶ。母親は「(加害行為をした)担任とは同じ教室にいられない。担任を代えてほしい」とお願いをした。校長が不在で、月曜日も出張とのことだった。

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「授業だけなら耐えられるかもしれないが、担任だと接する時間が長いので教室にはいられない。これは犯罪ですよ。対応していただけなければ、警察に相談します、と副校長に伝えました」(母親)

 加害行為があってから4日後の火曜日になって校長が出勤する。この一件について報告を受け、担任を呼び出すと加害行為を認めたという。しかし、話がそこから進展しなかった。午前中、校長と副校長、担任、野島さんと話し合いをした。担任は「遊びの感覚だった」と話したという。

「僕のトラウマの話を知っていたのに、先生が痴漢なんて怒りしかない。先生は『(野島さんが)望むなら教員をやめる』と言っていました。すると、校長先生は『その話はしないとさっき言ったじゃないか』と言っていたのを覚えています。先生は言葉では謝罪していましたが、逆ギレ気味でした」

「何を望んでいるのか?」と何度も

 その後、校長は穏便に済ませようとしたという。

「校長先生は『今まで仲良くやっていたんでしょ? ならば、もう一回、仲良くできるでしょ?』と言ったんですが、僕は『無理です』と答えました。すると、校長先生は黙っていました。事件をなかったことにしようとしたのは許せません」

 話し合いは平行線。その日のうちに、野島さんに担任が何度か接触してきた。

「接触してきたのは3回。1回目は廊下の手洗い場。2回目は防火シャッターの付近。3回目は1回目と同じ手洗い場。周囲からすると、不自然さはない声掛けだったと思います。いずれのときも『何を望んでいるのか?』と聞かれました。僕は『警察に行きます』と答えただけでした。

 ただ、3回目のときに、たまたま廊下を歩いていた別の先生が気づき、止めに入りました。『野島くん、ちょっとこっちおいで』と手招きをした。担任は謝って終わりにさせようとしていたんだと思いますが、誠意ある態度とは思えませんでした」