文春オンライン

連載文春図書館 ベストセラー解剖

俳句界からのバッシング、「お前が夏井か!」と怒鳴られたことも…『プレバト』の人気俳人が綴る“悲喜こもごもの半生”

『瓢箪から人生』(夏井いつき 著)――ベストセラー解剖

2023/01/25
note
『瓢箪から人生』(夏井いつき 著)小学館

《俳句を真剣にやってみよう》と思ったのは、愛媛県で中学校の国語教員をしていたとき。/30歳を少し過ぎた頃、《百年後に、俳句は根腐れしているかもしれない》という危機感を抱き、俳句の種蒔き運動を始める。だが「俳句甲子園」という新たな試みが俳句界からバッシングを受け、「お前が夏井か!」と怒鳴られたことも。/熟年再婚した夫でありマネージャーでもある「ケンコーさん」に肺癌の診断が下される。/実妹が、再婚相手のユダヤ系アメリカ人の世界的チェリストを連れて、ニューヨークから帰国……。

『プレバト!!』俳句コーナーで人気の著者が、こうした悲喜交交の半生を綴った。

「テレビで見せる鮮やかな添削と解説、物怖じしない姿に、著者の来し方を知りたくて週刊誌連載をお願いしました。出会いを大切に、時に『ブレるな!』と自分に言い聞かせて逆境を乗り越えてきた人生に、一層惚れ惚れすると思います」(担当編集者の橘髙真也さん)

ADVERTISEMENT

 連載に書き下ろしを加えて纏められた本書は、著者の並々ならぬ俳句への思いも迸る。40代以降の女性からの反響が多いそうだ。

「とくに印象深いのは、胃癌の病状が急変したお父様を乗せた車を、きれいな雪が積もる畦道近くに止める場面です。著者の心に残る映像がまざまざと見えてくる、凄みのある文章は圧巻。涙が出ました」(橘髙さん)

2022年8月発売。初版9000部。現在6刷8万部(電子含む)
瓢箪から人生

瓢箪から人生

夏井 いつき

小学館

2022年8月1日 発売

俳句界からのバッシング、「お前が夏井か!」と怒鳴られたことも…『プレバト』の人気俳人が綴る“悲喜こもごもの半生”

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー