後楽園にある東京ドームシティの「スパ ラクーア」が今年5月で開業20年を迎える。20年前の2003年には、奇しくも「大江戸温泉物語」(2021年9月閉館)と「豊島園 庭の湯」(現在も営業)がオープンし、“都心スパブーム”が巻き起こった。いずれもハイレベルの温浴施設だが、いまなお圧倒的な人気を誇る「ラクーア」の秘密に、温泉エッセイストの山崎まゆみ氏が迫った。(全2回の2回目/前編から続く)

入場前の筆者 ©山崎まゆみ

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10年ぶりに「スパ ラクーア」へ

 開業20年を前に、約10年ぶりに「スパ ラクーア」を訪れた。お正月の三が日に行こうと思い立ち、HPを確認すると入場制限を行っていた。年末年始はやはり混みあうのだろう。さすがの人気である。

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 10年前のラクーア体験を思い返すと、東京ドームシティアトラクションズ(2003年に「後楽園ゆうえんち」から改称)の見事な夜景に息をのんだことは鮮明に覚えているが、こんなにも再訪までに時間がかかったのはなぜか。それは温泉を専門に取材・執筆をしている私にとって、「温泉は地方に行ってこそ」という思いがあったからだ。正直、地方で湧く温泉に比べて都心のスパへの関心が低かったのだ。

 今回は新年の3連休初日に訪ねることにし、前日に電話したところ、「開始の11時には長蛇の列ができますし、13時以降は入場制限がかかりそうですので、12時台に来ていただけたら、比較的スムーズに入れます」とのこと。当日は12時半すぎに到着、滞在はせいぜい3~4時間だろうと踏んでいた。ところが予想は大きく裏切られることになる。

深夜割増料金で、朝まで滞在できる

「スパ ラクーア」の営業時間は午前11時~翌朝9時。午前1時からは深夜割増料金1980円(以下すべて税込価格)を払えば、朝まで滞在できる。

 入館料3230円、休日割増料金660円と、充実したサウナが整うエリア「ヒーリングバーデ」使用料880円が加算されて、4770円。リストバンドを渡され、館内は全てキャッシュレス対応だった。後からの精算をついつい忘れて消費してしまいそうになる。温泉地の共同浴場の入場料は300円~500円ほどで、日帰り入浴施設は1000円~1500円が相場と考えると、当初はやはり高いなと感じた。

エントランスにつながる入り口 ©山崎まゆみ

 入館ゲートを通って思い出したのは、ラクーアの開業当初からのターゲットは女性であること。現在もそこにはブレはなく、館内は白を基調とし、清潔感と上品さを兼ね備え、まるでエステルームにでも来たかのような、女性が居心地よいと感じるデザイン。さらに進化を遂げたと感じたのは、女性専用浴場への通路には11種類ものエステの写真と簡単な解説が示されていることだ。