サウナを満喫した後に、後楽園の遊園地を目の前にして休めるデッキチェアに数冊の本を持ち陣取った。16時頃からしばしの休息。この日は雲ひとつない青空から、茜色に染まる夕景、そして遊園地のアトラクションの華やかな照明がともる夜景まで、刻々と変化する景色に目を奪われた。うっとり。なかなかできない体験である。

 17時半頃、また空腹になり、5階へ戻ってヘルシーなデリを選べるカフェレストランで夕食をとる。4種のデリを選べて、五穀米と味噌汁が付いて1380円。

選べる4種のデリメニューと五穀米と味噌汁 ©山崎まゆみ

 夕食後、またリラックスラウンジで寛いだ後、もう一度ヒーリングバーデに行くと、落とされた照明の下で過ごすカップルたちの姿が目立った。20時以降は夜景デートを目的にしたカップルが多いのだろうか。日中は女性のひとり客と女性同士のお客さんが多く、男性のひとり客や男性2~3人のグループも見かけた。

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気づけば8時間以上も滞在した理由

ヒーリングバーデで寛ぐ ©山崎まゆみ

 当初、滞在はせいぜい3~4時間だろうと思っていたが、気づけば計8時間以上! それでもこのまま深夜割増料金1980円を支払い、朝9時までいたくなった。館内着から洋服に着替えて、寒い外に出るのが億劫になった。そう、私は腑抜けてしまったのだ。

 結局、チェックアウトで支払った金額は、当初の施設使用料に加え、垢すり代金と昼と夜の2食分で1万円ちょっと。想定していた金額の倍以上支払ったが、温泉に入浴でき、時間制限なくリラックスラウンジをフルに利用できるなら……相応の値段といえるかもしれないと最終的には感じた。

 各地の名湯に出かけて温泉に浸かることと、都心スパで過ごすことは全く別物の体験だと考え直した。土地の人との出会いもあり、好奇心がそそられ、それを満たしてくれる旅は能動的であるのに対し、都心スパは実に受け身。ただ湯に入り、サウナに入り、エステをして、ご飯食べて、寝ているだけの時間。行動と弛緩が繰り返される旅と、緩むだけの都心スパとでも言おうか。

 よく私は、温泉地での入浴と家風呂は全く違うと表現するが、同様に温泉地での入浴と都心スパは似て非なるものだった。これからは純粋に力を抜きたくなったら、都心スパを訪れようと思う。