運営会社の「カニカマ混入」に関する弁解
店を後にしてからしばらくすると、バンゲラズキッチンを運営する会社から電話があった。運営会社の社員だという男性は、先ほどの店長の話を真っ向から否定し、次のように話した。
「スタッフが言ったことは間違っています。彼はそもそも店長ではありません。これまでずっとボイルした本物のカニ肉を仕入れていましたが、店が今回だけ発注を間違えてしまったようです。発注システムがあるのですが、シェフかスタッフが誤って注文表のカニカマにチェックを入れてしまったと思われます。店のスタッフたちはカニだと思ってカニカマを提供したようです。シェフはインド人で、今日までカニカマという存在すら知りませんでした」
食材の発注ミス? それともサービス?
この社員の話をまとめると、次の通りだ。数年前にはワタリガニなどの殻付きのカニを使ってカレーを作っていた時期もあったようだが、食べづらいという客からの意見を反映し、最近はもっぱら調理済みのカニの身を仕入れていた。しかし、何らかの手違いで店員がカニカマを発注してしまい、そのままカニだと思い込んでカレーやスープなどに入れて提供していたという。
「通常、店の発注は運営会社が都度内容を確認していますが、年末年始でバタバタしていてそれができませんでした。完全にミスです。日本人はカニとカニカマの違いを知っています。まさかそんな日本人相手に、カニカマのカレーを3000円で出すことなんてしません」
運営会社の男性は改めて意図的にカニカマを仕入れたわけではないと主張し、今後は間違いが起こらないよう発注方法を見直すとした。
飲食店がカニを仕入れるつもりで誤ってカニカマを発注してしまうことはあるのだろうか。前出のカニ専門商社の男性はこう話す。
「飲食店の方がカニと間違えてカニカマを注文してしまうことはまずあり得ないと思いますが……」
バンゲラズキッチンのホームページを改めて見てみると、「私たちは、本格的な美味しいインド料理を日本に紹介することを目的に事業を開始しました。(中略)これまで日本では知られていなかったレシピや味を紹介することで、ユニークな体験を提供します」と書かれていた。
カニカマのインドカレーを食べることは「ユニークな体験」であったことに違いないが、なぜカニが魚の加工品にすり替わってしまったのか、店側と運営側の説明は食い違う。果たしてその真相やいカニ。