お笑いコンビ「ダンサブル」の有田久徳。そう説明しても、ピンとこないかもしれない。だが、『タモリ倶楽部』の「空耳アワー」に出演する空耳俳優、尻男優の有田久徳――と説明すれば、「あ!」と膝を打つ人は少なくないはずだ。
一度見たら忘れることができない、あの名演はどのようにして生まれるのか? そもそも、有田久徳とはいかなる人物なのか?
唯一無二のパフォーマンス誕生秘話を開陳していただいた。(全3回の2回目/続きを読む)
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――素朴な疑問なのですが、「空耳アワー」(以下・空耳)って1日にどれくらいのペースで撮影するものなのでしょうか?
有田久徳(以下、有田) 一番多かったときで、1日8本ぐらい撮ったかなぁ。僕は“尻男優”ですから、「今日は全部脱ぐから衣装はないよ」ってスタッフさんから言われて、ガウンだけを渡されたときもありましたね。ガウンを脱いで1本撮影して、終わったらまたガウンを羽織って、2本目が始まるとまた脱いでって。完全にセクシー男優 です(笑)。
――ははははは! なんだろう、有田さんがものすごく一芸を極めた方に見えてしまいます。
有田 役者さんには、「こういうネタだよ」とか、「こんなネタなんですけど、こういうことってできますか?」みたいな相談があるんですけど、僕のときは基本的にないんです。
過去に何回かだけ確認されたことがあって、それが「セミ食べられる?」っていうのと、「3メーター潜ってオナニーの演技できる?」っていうのでした。僕の場合、そういう相談しか来ないんで(笑)。「どちらもしたことがありません」としか言いようがないので、できる・できないじゃないんですけどね。
空耳俳優が選ぶ「会心の演技」
――有田さんが選ぶ、“マイフェイバリット空耳アクト”というのはあるのでしょうか?
有田 “尻男優”と命名してくれたディレクターさんがいるんですけど、その方が『タモリ倶楽部』で僕の特集を組んでくださったときにも紹介されたチャカ・カーンの「恋のハプニング」という曲ですね。ちょうど僕自身、空耳に慣れてきたくらいで、“お尻をいっぱい出す人”というイメージが定着してきた頃に撮影した作品なんです。
「あっちから突っ込んで こっちから突っ込んで」という空耳なので、医者に扮した二人の役者さんが僕の肛門に大腸カメラを差すという雰囲気を作らなきゃいけない。あんまり現場に慣れていない役者さんって、真剣に演技プランを確認して実行するんですよ。そのときも疑似でいいのに、思いっきり僕の肛門に挿入して……ああ、なるほどなって。こうきたかって。あの悶絶はリアルな表情なので、結構お気に入りです。
――なるほど。空耳と言えど、役者さんは本気を出すと。
有田 リアルを追求する人は、そうなんです。「こっちから」の人がすごく突っ込んでくれて。あとは、「ぬるぬる維持中」も印象深いです。