お笑いコンビ「ダンサブル」の有田久徳。そう説明しても、ピンとこないかもしれない。だが、『タモリ倶楽部』の「空耳アワー」に出演する空耳俳優、尻男優の有田久徳――と説明すれば、「あ!」と膝を打つ人は少なくないはずだ。

 一度見たら忘れることができない、あの名演はどのようにして生まれるのか? そもそも、有田久徳とはいかなる人物なのか? 

 芸人を志したきっかけ、空耳出演にいたる背景を訊いた。(全3回の1回目/続きを読む

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©文藝春秋

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――本日は、「有田久徳とはどんな人物なのか?」という点を伺っていければと思います。その前にお聞きしたいのが、コロナ禍で空耳俳優事情も変わったのではないかということです。たとえば、紙芝居だったり指人形だったり、感染対策を意識した作りが増えている気がするのですが。

有田久徳(以下、有田) それはあると思います。実際、僕がロケに行く機会も減っていますから。と言っても、僕の場合はコロナだけではなくて、最近、コンプライアンスがちょっと厳しいみたいで。

 ありがたいことに、僕は「空耳アワー」(以下、空耳)でひんぱんにお尻を出していたことから“尻男優”と呼ばれるまでになったのですが、お尻がなかなか出せなくなっているみたいなんです。男性でも、お尻のほっぺの部分は出してもいいけど、割れ目の部分は出しづらいとか、お尻事情があるみたいで。

――そんなコンプラお尻事情が……。

有田 僕が空耳に登場するときって、だいたい露出が多いですからね。それにしても、インタビューが僕なんかで大丈夫なんですか!? 僕、尻しか出してませんよ。売れてませんよ!?

空耳俳優の知られざる過去

有田さんが経営する居酒屋「小粋」(東京・高円寺)にて話を聞いた ©文藝春秋

――全然、大丈夫です! 空耳ファンからすれば、有田さんはスターですし、聞きたいことがたくさんあります(笑)。有田さんは、普段はお笑いコンビ・ダンサブルとして活動される芸人です。94年デビューですから、芸歴は29年。芸人を志したきっかけは何だったのでしょうか?

有田 うちの相方(朝倉淳二)と高校1年生のときに同級生だったんですよ。2年生、3年生は別のクラスだったんですけど、3年生のときに急に電話がかかってきて、「親を捨てる気はあるか?」っていきなり質問されたんですね。僕の親はすでに離婚していて、たらい回しにされている感じだったので、「もう捨てられてるよー」みたいなことを言ったら、「じゃあ、芸人になろう」と誘われまして。

 どうやら相方は、他の人を誘っていたらしいんですけど、その人の親御さんが厳しかったみたいで、断られたと。それで、自由に動ける人間を探していたらしく、僕に電話をかけたみたいです。