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「我慢できなくて、ゴムを外してやることも…」援助交際を経てセックス依存症になった発達障害女性(21)の告白

『ひとつにならない 発達障害者がセックスについて語ること』より #2

2023/02/02

genre : ライフ, 社会

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途中から自分の方が相手に依存してしまい、関係は破綻

「特進クラスあるあるで、校則が厳しめだったんですね。学生手帳に『不純異性交遊を禁じる』と書いてあったので、基準を知りたいと思って、尋ねに行ったんです。でもどの先生に聞いても、『普通にやっていれば大丈夫だから』って言われて。それであるとき、ツイッターに彼氏のほっぺにキスしているプリクラをあげたら、呼びだされてふたりとも『無期停学』を食らいました。実質は3週間だったんですけど。それで大学入試の推薦を受ける権利を失って、いまでもずっと根に持っています。私の場合はほっぺにキスくらいじゃない、これまでにもとんでもないことをたくさんしてきたのにって」。

 その恋人とはその後もつきあっていたが、徐々に相手が唯さんと同様の「メンヘラ」になってきて、「重くなった」という。彼は親とうまくいってなくて、寂しがり屋だったらしい。「それで捨てたのはひどいことをしたなって思ってます」。私も最初の恋人と同じような経緯を辿ったことを思いだしてしまう。初めは依存されていたのに、途中からむしろ私のほうが依存してしまって、関係は破綻していった。いま思いだしても胸が痛くなる。

デリヘルになると仕事となり気が重く

 残りの高校生活で、唯さんはふたりの男性と恋人関係になった。ひとりはSNSを通じて知りあった小学校の教師だった。私は、やはりそのような学校教師もいるのだな、と思った。唯さんは不安定をきわめていて、リストカットがもっともひどい時期を迎え、病院の夜間救急外来で7針を縫ったこともあった。そして相手によく激昂したため、相手は泣きながら「メンヘラ過ぎてついていけない」と言い、離れていった。しばらくして、同じマンションに住んでいた中学時代の美術部の先輩が新しい恋人になった。傷心して落ちこんでいるときに、慰めてくれた相手だった。 

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写真はイメージです ©AFLO

 この時期に、唯さんの人生は新たなステージを迎えていた。援助交際を始めたのだ。ツイッターで相手を募集するためのアカウント(いわゆる裏アカ)を作って、相手とホテルや車で待ちあわせ、性行為だけしてそのまま解散。父親は唯さんに対して幼いころから貞操について厳しく語り、「女の子は結婚するまでキス以上はしちゃだめ」と制約を課す一方、弟には「男はもっとガンガン行かないと恥ずかしい」とけしかけてきたから、援助交際は父親への密かな反抗でもあった。初めは興味本意だったものの、みるみるうちに自傷の意味合いが強くなってきた、と唯さんは語る。