「女子医大を復活させるOGの会」が理事長を実質リコールへ
自身の娘を女子医大に入学させた、元教授が内情を明かす。
「これまでなら、学生時代に大切にされた経験をもつ私たちOG(卒業生)の大半は、自分の娘も女子医大に入学させていました。しかし、岩本理事長の経営方針に失望して、多くの優秀な医師が去り、伝統だった丁寧な教育システムも破壊してしまった。今では大学医学部として一流とは言えないランクに落ちています。最近の実情をよく知っているOGは、娘の受験先から女子医大を外すようになりました」
このような母校の凋落に危機感を深めたOGが、刑事告発に続いて、新たな行動を起こしたのだ。
まず、OGの女医40人によって、「女子医大を復活させるOGの会」が結成され、ツイッターのアカウントを新たに開設した。そして、1月15日に、同窓会組織「至誠会」の会員の大半に、賛同の署名を求める文書を送付した、と公表したのである。
「復活させるOGの会」の代表6人の中には、女子医大の名誉教授2人が含まれているという。送付文書に明確な意図は記されていないが、岩本絹子氏の実質的なリコール運動とみられている。
「私達至誠会員有志一同は、吉岡彌生(*創立者)先生が創られた、世界で唯一の女子医大の卒業生であることを誇りとして参りました。今、その女子医大が存続の危機に瀕していると思います。このまま何もしなければ、東京女子医大120年の歴史に幕を閉じてしまってもおかしくはないと懸念致しております」(1/15付:「女子医大を復活させるOGの会」の署名文書より一部抜粋)
病床稼働率はわずか「36%」。昨年7月は約4億円の赤字
いま、女子医大が直面しているのは、医師・看護師不足による「深刻な経営不振」である。“本院”と呼ばれる女子医大病院(東京・新宿区)は、去年4月から毎月約2億円以上の赤字が続き、最も赤字額が多い去年7月は約4億円に達していた。
経営不振の原因は、医師や看護師の退職が相次ぎ、人手不足による入院患者の激減にある。
今年1月上旬、入院患者を示す、病床稼働率は「36%」だった。病床稼働率の損益分岐点(*注1)は80%といわれるので、36%は“経営破綻レベル”と言っても過言ではない。ちなみに5年前の同時期は「86%」だった。
*注1:損益分岐点とは利益ゼロのポイントで、これを下回ると赤字経営になる