「復活させるOGの会」の代表のうち2人が名誉教授の称号を剥奪された
この動きを察知した、岩本氏ら現経営陣側は、間髪をいれず反撃に転じている。「復活させるOGの会」が行動を開始したわずか2日後、女子医大で緊急理事会を開いて、同会代表のうち2人から、名誉教授の称号を剥奪したという。
そして次に、女子医大に勤務するOGの引き締めを図る。1月17日、「明日午後3時半に緊急集会を開催する」と通告する一斉メールを送ったのだ。OGの1人は、このメールに困惑したと語る。
「診療現場のことは、何も考えていないと感じました。平日の午後3時半は、普通に仕事がたてこんでいるので、前日に通告されても予定は変えられません。私は外来(診察)があったので、出席できませんでした。それに同窓会活動は仕事じゃないので、勤務中に集会を開くのは疑問です」
緊急集会の当日、会場に主役と言うべき岩本氏の姿はなく、進行役を務めたのは、女子医大OGで理事として経営に携わる石黒直子医学部長だった。“「復活させるOGの会」が、一体何を目的にしているのか理解できない。賛同しないように”と熱弁をふるった。
そして、石黒医学部長は、岩本氏の主な業績を次々と紹介したが、これに参加した若手OGたちは呆れ返ったという。その業績とは、医療や教育に関することではなく、付属病院(東医療センター)の移転や施設の耐震補強、新校舎の建設だったのだ。まるで一昔前の政治家が得意な“ハコモノ”自慢である。「建築会社じゃないんだから…」とため息を漏らしたOGもいたという。
さらに、石黒医学部長は、本院で巨額の赤字が続いていることや、深刻な医師不足については全くと言っていいほど、触れようとしなかった。
若手が医師不足の窮状を訴えるも、石黒医学部長は“対応済み”と返答
こうしたなか、質疑応答ではOGの若手医師が、医師不足の窮状を訴えた。
「病院の状況がどんどん悪くなって、非常に働きづらいですし、すごく良い先生(医師)が辞めていくというのが現状です。本当に現場は混乱して、患者さんをこの病院で守り切れるのかなと。
このままだと、この病院のシステムのせいで、患者さんが死んじゃうかもしれない、と思う場面がすごく増えています。この状況が、理事会の方々に伝わっている感じがしません」(本院に勤務するOG内科医)
この訴えに対する、石黒医学部長の返答は──。
「皆様の苦しいところは、優先順位の高いところからやって、私のリストから見ると概ね大事なところは終わって済んでいます」
現在進行形で起きている医療崩壊は“対策済み”というのだ。話がまったく噛み合っていない。それでも、医療安全を担当するOGの教授は、ダメ押しするように医師不足で救急外来が逼迫していると報告した。
「救急外来では、ほぼ毎日と言っても過言ではないですけど、小さなアクシデントが起きています。(医師の)離職が続いて、内科も外科も毎日(勤務シフトを)組めないような状況です。若い先生がどのくらい怖い思いをしているか、実際に聞いて対策をとれば、リスクが減るのではないでしょうか」