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 しかし吉永さんがいかに“コミュ強”とはいえ、場所はエクアドルである。想像を超える場面にも何度も遭遇したという。

「エクアドルで迎えた初めての大晦日は印象に残っています。まだ友達もいなかったのでバーで1人で飲んでいたら、酔った黒人のおばさんに突然キスされました。それを俺が怒って拒否しているのを見た白人の若い男性2人とインディオ系のおじさんの3人組が慰めで酒を一杯おごってくれて、『ついて来いよ』とジェスチャーしてきたんです。言葉はまだわからなかったんですけど、友達になろうぜってことかなと思ってついていきました」

23歳頃の吉永さん。すでに貫禄は十分

 バーを出ると、目的地もわからないまま4人でタクシーに乗り込み、移動を開始。その時点ではまだ不安を感じていなかったというが、すぐに“異変”が起きた。

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「タクシーが一軒家の前に停まって、そこで降りるように促されました。リビングに4人で座って酒を飲みなおしてしばらくしたら白人の2人が奥の部屋へ消えました。2人になったらおっさんが急に体を寄せてきて、俺の膝をまさぐりだしたんです。そこまで来て、『俺はナンパされたのか!』と初めて気がつきました」

更生のためのはずが、ナンパと冒険の日々

 吉永さんは自分が勘違いしていたことを伝えようとしたが、何しろ言葉が話せない。奥の部屋にいる2人に助けを求めても、2人はすでに裸でベッドで寝転んでいた。そこで吉永さんは一計を案じた。

 

 「セックスオッケー。テレフォン、ママ!!」

「遅くなることを母親に電話したい」という意思を伝えようと単語を叫ぶと、家の外にある電話までインディオ系の男性が付き添ってくれることになった。そして玄関の扉が開いた瞬間、吉永さんは全力疾走で逃走。大晦日の暗い夜、タクシーをつかまえてなんとか自宅までたどり着いたという。

 吉永さんが南米へ来たのは更生のためだったはずが、実際にはナンパと“冒険”の日々。しかしそんな生活は長くは続かず、現地で労働を始めたところから人生は大きく変化していく。

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