体を売っていることも知ってるようだが…
「実は、昨年6月に広場に通うようになって以来、補導自体はぼちぼち経験しています。親との仲が悪いわけじゃないので、毎回迎えに来てくれるんですが、その日のうちに『歌舞伎に行ってくるね』と家を出ることもしょっちゅうです」
現在、亜里さんは歌舞伎町のホテルを転々としたり、保護団体のシェルターに入りながら、メン地下(メンズ地下アイドルの略)やコンカフェに貢ぐ金のために案件を繰り返し、月30万以上を稼ぐ暮らしを続けている。
「親と折り合いがつかずに広場に逃げてくる子は多いけど、私は珍しく親公認で歌舞伎町にいます。補導後に家に帰っても、『ニュースになってたね』くらいで、何も言われなかった。きっと今の私には、広場での生活が合っていると感じている節があるんだと思う。私が体を売っていることも知ってるようだけど、『気をつけなね』ってひとことだけ。ある意味、うちは緩い親でラッキーだったなと思ってます」
補導後に保護施設を脱走するキッズも
「べつに補導は慣れっこですけど、意味ないですよね」と大人びた様子で話すのは、同じく昨年12月10日に補導された梨奈さん(仮名・17歳)だ。
「当日は広場でみんなといて、『身分証みせて』という私服警官の声かけに無言でいたら、そのまま捕まりました。でも、補導なんて歌舞伎町じゃ定例行事みたいなもんだから、私は下手に抵抗もしなかったし、一緒にいた18歳以上の面々も『早く帰ってこいよ、待ってるから!』って送り出してくれて。
警察を経由して新宿の児相に送られたけど、2人部屋で一緒だった子も同じトー横の子で。部屋の外に監視員がいたから会話はできなかったけど、安心感がありました」
梨奈さんはその後、親が身元の引取りを拒否したために、東京近郊の実家に近い一時保護所に移された。2日後、親の知人が保護者代わりとして身元を引き取ってくれたものの、隙をみてすぐ歌舞伎町に逃げたという。