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親に引き取りを拒まれ、歌舞伎町を転々とする生活

「親に保護してもらえないことには、もう何とも思わない。小さい頃からずっと暴力やネグレクトを受け続けてたので。ひどい親だって周りに気づいてもらうために、小4の時にわざと万引きして児相に送られてみたけど、そしたら余計に親の暴力はひどくなって、結局は家と児相の行き来を繰り返すことになった。

 高校にちゃんと通おうとした時期もあるけど、やっぱり当たり前のように虐待のない家庭で育った子たちには溶け込めませんでした」

 こうした状況のなか、梨奈さんが初めてトー横の広場に顔を出したのは昨年4月のこと。当時、梨奈さんの親は捜索願を出した一方で、いざ梨奈さんが警察に保護されると『そんな危ない場所にいく娘なんて、もう縁を切る』と引き取りを拒否。梨奈さんは2カ月間保護施設で過ごすことになり、いまは歌舞伎町のホテルを転々とする生活を送っている。

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今後もこの生活をやめる気はまったくない

「ここ半年くらいは生きるために万引きや売春を続けていて、もう10回以上は地元付近の保護施設に入れられてます。でも、そのうち7回は施設の2階の部屋の窓から飛び降りて脱走しました。施設スタッフに捜索願を出されて、大阪の“グリ下”(大阪・ミナミの「グリコ」看板下の略)まで行って身を潜めたりもしました。

 その施設のご飯は味が薄くて冷たいし、トイレも許可制。時計とベッドしかない部屋で1人ぼっちで、スマホも没収されるから皆と連絡もとれない。そんなところにいたら頭がおかしくなる。それで抜け出して、無賃電車で歌舞伎まで行って、広場の人に『おかえり!』って言ってもらう瞬間が、本当にほっとする」

 現在、梨奈さんは17歳だが、今後もこの生活をやめる気はまったくないという。

「何度補導されたって、いまの私には帰る場所が広場しかない。同じような思いで、補導されても必死に抵抗して、交番まで泣きながら引きずられていくもっと若い子もいます。

 4月に広場近くに歌舞伎町タワーができればキッズの居場所がなくなるなんて噂もあるし、最近は広場の誰かが補導される回数も増えてる気がする。それでも、渋谷とかどっかに場所を変えてでも、似たような友達と似たような生活を続けることを選ぶ子は多いんじゃないかと思います」