「コクがあって甘みが残る」牛骨ラーメンのウマさを知っているか⁉

  九州発祥ながらも知らない人はいない豚骨ラーメン。では、牛骨ラーメンについてはどうだろう。鳥取県の中西部でラーメンと言えば「牛骨」を意味するほどの存在だ。地元では「ラーメンは牛骨スープで作られると思っていた」と話す人がいるほどである。だが、同地以外ではほとんど知られていない。そこで、「全国に名の通ったブランドになるよう発信しよう」と、鳥取県西部の中核都市・米子市の25店舗が集まり、「米子牛骨ラーメン同盟」を結成した。

 仕掛け人は、米子市観光課で観光振興プロデューサーとして働く大森満晴さん(59)。大森さんは全日空グループの社員だが、総務省のプログラムで出向し、外からの目で見た米子市の魅力再発見に取り組んできた。

知られざるラーメン王国の米子市には様々な店がある。看板がなければ、民家と見間違う(満洲味)

 話はやや回り道になるが、パフェがきっかけだ。

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 北海道札幌市や石川県金沢市で勤務経験のある大森さんは、札幌で飲酒した後に食べる「シメのラーメン」ならぬ「シメパフェ」、石川県加賀市で地元産品を使った「加賀パフェ」が定着しているのを知っていて、「米子もパフェでまちおこしができないか」と考えた。このため喫茶店に相談しながら回っていた時のことだ。そのうちの一店で出会った広告代理店の経営者から「なぜ、パフェなのか。米子には牛骨ラーメンというすごい食べ物があるのに、全然取り上げられなくて悲しい思いをしている。牛骨ラーメンこそ売り出すべきではないか」と力説された。

475パフェのポスター

 東京に自宅がある大森さんは、2021年に米子へ赴任するまで、牛骨ラーメンを食べたことがなかった。市職員らが「米子のラーメンと言えば牛骨ですよ」と、いくつかの店に連れて行ってくれたが、「コクがあって、甘味が残る。面白い味だな」と思った程度で終わっていた。

 しかし、代理店経営者の熱意に焚きつけられるようにして、牛骨ラーメンについての取り組みを始めた。もちろん「475(よなご)パフェ」を新名物化する事業に目途がついてからの話だ。

 それにしてもなぜ、これほど新名物にこだわるのか。実は米子ならではの事情がある。