ある夜、1人の猟師がバンドリ(ムササビ狩り)に行った。ムササビの影、光る目。狙いをつけて引き金を引いたが、何発も何発も撃ってもムササビは落ちてこなかった。その目は微動だにせず光るばかりで、猟師が怖ろしくなって家に帰ると、家人が亡くなったことを知らされた。
別の日の夜、バンドリに行った2人が真っ青になって帰って来た。2人は銃を持ったまま、「猟場でもの凄い笑い声が聞こえて来たんだ」と、ガタガタと震え続けた。
それを信じなかった仲間の猟師が1人で猟場へ行くと、同様に顔面蒼白になって逃げ帰って来た。
「わあっはっは」「わあっはっは」――森に響き渡る大きな声は天狗に違いない。猟師たちはそう思ったという(「森の大笑い」)。
窓を開けて入ってこようとする男
古くから山岳信仰の対象になって来た東京・御岳山の山中にある神社でのこと。参道近くで宿坊を営む女性の亡夫は、子供の時に、弟と一緒にお風呂に入っていて異変を感じた。「ガタン」と、何かが壁に当たる音がしたのだ。
またガタンッ、と音がして、窓へ近づくと、突然、男の顔が見えた。男は窓を開け、入ってこようとする。子供たちは悲鳴を上げた。悲鳴を聞いた大人たちが家の周りを探しても誰もいなかったし、窓も開けられていなかった。
翌日、連絡が来て、その家の親戚が亡くなったことを知らされた(「御嶽神社」より)。
繰り返し見続ける、不思議な夢
秋田県の深い山で林業に従事する男性は、不思議な夢を見続けた。
林道を歩いていて、巨木が見下ろしているところを通り、沢沿いに進むと大きな岩があり……と、実在する場所を進んでいく。右へそれると、大雨で崩れたままのコンクリートの橋があり、その先に1台の車が見えた。ここで目が覚めた。