松竹伸幸氏は、『週刊文春』1月26日号において、わが党に対して「およそ近代政党とは言い難い『個人独裁』的党運営」などとする攻撃を書き連ねた鈴木元氏の本(1月発行)[編集部注:『志位和夫委員長への手紙 日本共産党の新生を願って』(かもがわ出版)]を、「『同じ時期に出た方が話題になりますよ』と言って、鈴木氏には無理をして早めに書き上げていただいた」と出版を急ぐことを働きかけたことを認めています。松竹伸幸氏はわが党のききとりに対して、この本の「中身は知っていた」と認めました。この行為は、党攻撃のための分派活動といわなければなりません。
わが党のききとりのなかで、松竹伸幸氏は、自身の主張を、党内で、中央委員会などに対して一度として主張したことはないことを指摘されて、「それは事実です」と認めました。わが党規約は、中央委員会にいたるどの機関に対しても、自由に意見をのべる権利を保障しています。異論があればそれを保留する権利も保障しています。しかし、松竹伸幸氏は、そうした規約に保障された権利を行使することなく、突然の党規約および党綱領に対する攻撃を開始したのです。
京都府委員会副委員長も「販促の観点からの措置だったんですね」と理解
つまり、共産党側は、松竹さんと鈴木氏の新著の刊行時期を合わせたことが分派活動であり、自身の主張を党内の諸機関に主張することなく党外で発表したことが問題だと、指摘しているのだ。
松竹さんは処分が下りた6日に日本記者クラブで会見し見解を述べたが、改めて除名処分やこれらの共産党側の姿勢に対してこう反論する。
「約50年前に“新日和見主義事件”という出来事があり、その際には分派として100人程度が処分されたといいます。しかし、中心人物の川上徹さん(故人)でも権利停止1カ月であり、査問中の除名者は皆無でした。なので、私の除名処分は特異な例と言えるかもしれません。
そもそも私は分派活動をしていません。私は編集者として鈴木さんの本をこれまでにも何冊か担当していて、鈴木さんが是非、今回の本を出したいとおっしゃったんです。党歴60年の鈴木さんの熱い思いが詰まりに詰まった内容だったため、貴重な一冊になると考えて引き受けました。それと同時に私の新書も作業が進んでいたので、それなら話題性を出すために時期を合わせましょうという話になりました。
書籍があまり売れない昨今、一冊単体で出してもなかなか手に取ってもらえません。ところが何冊か同じテーマの本が並んでいれば目にとまりやすいですよね。私は編集者ですから、本を売るのも仕事です。あくまでも営業的な観点での同時刊行でした。
実際に地区委員会の調査でも、その旨を伝えると、京都府委員会から来ていた副委員長が、『販促の観点からの措置だったんですね』と理解してくれて、同時刊行については何も問題視されませんでした。それなのに分派活動と見做されてしまったのは、中央委員会の意向なのでしょう。
このように、出版が分派活動として処分されるのであれば、憲法の言論の自由は死んでしまいます。さらには、こうした判断を下す共産党すら滅びかねないのです」
では、党内で意見を主張せず、出版や会見をしたことについてはどう考えているのか。