「さすがに除名はないんじゃないかと思っていた反面、共産党はやるときはやってくるので、最悪の事態も想定はしていました。そして本当に“やって”きたのです…」
こう語るのは日本共産党から2月6日に「除名」処分を下された元党員の松竹伸幸さん(68)である。松竹さんはかつて党本部の政策委員会で安保外交部長も務めたことがあり、現在はジャーナリスト、編集者として活動している。
処分の理由は、松竹さんが、新著『シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』(文春新書)を1月19日に上梓し、同時に記者会見を行ったからだ。松竹さんは、著書の中で、党首公選制の導入を求め、党首選が実施されれば自ら立候補するとし、さらに野党共闘への道として安保・自衛隊・憲法についても持論を展開していた。
共産党「規定を踏みにじる重大な規律違反」
これに対して、共産党側は機関紙である「しんぶん赤旗」の紙面(1月21日付)で、藤田健編集局次長の署名で反論記事(以下、藤田論文)を掲載。その後、同23日の常任幹部会で「藤田論文」の的確性が確認されると、松竹さんは2月2日に所属する京都南地区委員会から規約違反問題で調査を受けた。そして、同委員会で同5日に除名処分が決定され、翌6日に京都府委員会の承認が下りたのである。共産党側は、文書(「松竹伸幸氏の除名処分について」2月6日 日本共産党京都南地区委員会常任委員会 京都府委員会常任委員会)で以下のように松竹さんを断じている。
松竹氏の一連の発言および行動は、党規約の「党内に派閥・分派はつくらない」(第3条4項)、「党の統一と団結に努力し、党に敵対する行為はおこなわない」(第5条2項)、「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」(第5条5項)という規定を踏みにじる重大な規律違反です。
文書では具体的な処分理由として4点を挙げているが、文書発表後に共産党側が強く主張しているのは次の2点である。