水産庁によると、漁業に従事している女性の割合は約14%。船を操って、多種多様な魚を水揚げする彼女たちの目標とは?(全4回の3回目/#4に続く)

撮影 深野未季

創意工夫の軽い定置網で女の子だけの船団を

 祖父と父が三重県の熊野でサンマ船に乗っていたんです。小さい頃、漁に連れていってもらいたかったけど、女の子だから一度も乗せてもらえませんでした。

 本社は東京ですが、水産事業部が熊野にもある株式会社ゲイトで働き始め、魚の加工を担当していたんです。ある時、東京から社長が来て「仕事楽しいか?」と聞くので、「楽しいけど本当は漁師がしたいです」と答えたら、「じゃあ、やりなよ」と。2018年、ちょうど会社が定置網漁を始めるタイミングでした。

風早に乗船する(右から)田中りみさん、西地絵美さん、奥西美紀さん、薮本やよいさん

 定置網漁は腕力が必要なんです。でも、私には女の子だけで船団を作りたいという夢があったので、通常の10分の1のサイズに網を改良しました。それで、仕事を探している地元の女の子たちを誘ったんです。小さい網ですが、14キロのブリが獲れるんですよ。冬はグレ(メジナ)、アジ、アオリイカも狙い目ですね。

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 全国の女の子から「漁師になりたい」と問い合わせが来るので、定置網漁体験を設けています。いずれはここだけではなく、彼女たちが漁師として働ける全国の港を探して、斡旋できるようになればいいなと。

 海さえあれば、漁師は一生続けられる仕事。マグロやカツオを“沖で一本釣り”が私の目標です。