部屋からは深刻な話し声が…
母親(47)は、息子が亡くなる数日前の出来事を覚えていた。
「土曜日(3日)に、部屋で暗い声で何かを話していました。でも、何を話しているのかまでは聞こえませんでした。どうしたのかなと気になったんですが、年頃ですので部屋に入られるのは嫌がります。そのため、大丈夫かなと思っていました。なにか大事な仕事の話をしていて、すごく深刻な感じでした。後で分かったのですが、このとき監査委員に責められていたんです」
12月の「基本調査」では、「反省すべき点」として、学生会への配分額と領収書の集計額が整合しない状況が続いていた。そのため、学生会として、会計報告に関する課題を挙げており、野村さんが学生会長をする以前の、2017年から2019年度の最終会計報告書の取りまとめが困難として、その改善が課題になっていた、という。そのため、学校としては、報告書の未提出が連続する状況を改善しておく必要があったとした。
「私としては、2020年5月にあった臨時学生集会で陽向が報告した、学生会長就任以前の2014年~2017年の使途不明金もきちんと調べてほしいです。陽向が学生会の会長になる前からのものもあります。そもそも、過去6年間監査をしていません。どうして以前から指導をしていないのか。前会長は(高専に)在籍をしていましたが聞き取りをしていません。学校側を信用できない」(父親)
再発防止としては、監査の進め方について、「鑑みれば、平日の夜間や土曜日・日曜日の活動の在り方について、反省すべき点があったと認識しています」(報告書)とした。その上で、「会長に業務や責任が集中する状況を解消する」(同)などとした。さらに、学生会への指導・助言は複数の教員が連携する、としている。
「これではブラックボックスになってしまう」
学校からの基本調査後、21年8月6日、独立行政法人「国立高専機構」で、「第三者委員会」を設置することになった。当初は22年3月末を目処に報告書が作成される予定だったが、調査が継続している。
「だいたいこんなことがあったんじゃないか、という事実を把握すれば、関係者を呼んで会議室で話をすれば、それで終わる話なんじゃないかと思うんです。時間をかけると、人が異動をしてしまうので、事実も責任も曖昧になる。20年の年末の段階で基本調査を出しましたが、それでわかるのではないか。それなのに、『第三者委員会を立てます』『高専機構が設置者になります』『会見はしません』となって、公には説明がされませんでした。『なんで?』と思いました。この設置のあり方には同意していません。これではブラックボックスになってしまいます」(父親)