――なるほど。そのボロボロのブランド品を購入するのは、どんな人たちなんでしょうか。
宇田川 見栄のためにとりあえずブランド品を持っておきたいって人たちもいるんですよ。あまり状態を気にせずに、ヴィトンだったらいいかなとか、グッチだったらいいかな、みたいな感じで買う人が多いです。
あと、メルカリで不用品を売って得た売上を現金化せずに、メルカリ内で別の商品を買うのに使う人が結構いるんです。特に、10代のユーザーは現金化するのに必要な銀行口座を用意するのが難しいから、メルカリ内で売ったり買ったりするのがメインになる。そういう層にボロボロだけど安いブランド品が刺さるのかもしれませんね。
落ち葉を拾って売って…高齢層のメルカリ利用
――やっぱりメルカリを利用するのは10代~20代の若年層が多い?
宇田川 そうですね。これまでは10代~20代のユーザーが一番多かったんですけど、コロナ禍になって、60代~70代のユーザーがすごく増えました。今の60代~70代の人たちって、もうスマホは結構使いこなせますよね。メルカリは写真を撮って文字を入力するだけで出品できるので、高齢層でもハードルは高くないと思います。
生前整理や終活的な目的で利用される人がやっぱり多いですね。私も、そういう方のご自宅に伺って、売る作業を手伝ったことがあるんですけど、良いものを大切に保管されていて、高く売れることもよくあります。
――『開運!なんでも鑑定団』みたいですね。
宇田川 そうなんですよ。ただ、お金目的というよりは「捨てちゃうのはもったいないから、大切に使ってくれる人に譲りたい」と考えてる人が多いですね。
趣味が高じてメルカリを使っている60代~70代のユーザーもよく見かけます。植物の苗を売ってたり、自宅で増やした種を売ってたりとか。山の方に住んでる方が、木の実や綺麗な落ち葉を拾って売ってるのも見ました。リピーターがついていて、売れてるんですよ。
――落ち葉が売れるんですか?
宇田川 料理人が買うんです。綺麗な紅葉とか、盛り付けに使いますよね。
それから、若いユーザーは取引相手とのメッセージのやりとりを面倒くさがって「最低限でいい」って人が多いんですけど、60代~70代のユーザーにとっては、やりとりも楽しみの一つなんですよ。メルカリの取引画面でプライベートなことを話し合ったり、仲良くなって会うことになったりっていう話も聞きました。
――メルカリマッチングですか……!
宇田川 1人で家にいて、話し相手のいない人が、メルカリを使って顔の見えない取引相手とのコミュニケーションを楽しむ。実は、メルカリにはそういう需要もあるんですね。