——ひどい。
後藤 そんなのばっかりですよ。その時は「この野郎」と思ったけど。半分くらいそういう客で、あとは……言葉は悪いけど、もっといやらしくて、私と仲良くなれば芸人と出会える、みたいな人もいましたね。
「何でも相談に乗るし、ご飯も食べさせてあげる」とお姉さまのような感じでファンレターをくれるんですけど、本当の目的は「○○の連絡先を聞いてほしい」とか。
——後藤さんをなんだと思ってるんだ……。
後藤 仲介役(笑)。「打ち上げでどこ行くか分かったらPHSに連絡して」とか。
高3になるタイミングで、芸人を辞めると決意
——すごく若い時に人の嫌なところをたくさん見てしまった。
後藤 だから、人間不信になって、心を閉ざしちゃったんですよね。人とコミュニケーションが取れなくなっちゃったんです。もともとが16歳で始めちゃったから、その時点でコミュニケーション能力なんてないじゃないですか。中学くらいまで「みんな大好き」って遊んでたのに、高校になって人間関係をはぐくんでいくという時に、変な人になっちゃってたんですから。
色眼鏡で見られるし、こっちも何か話して外に漏れちゃうのも嫌だし。「芸能人、誰会った?」みたいな感じで言われると、私に話しかけてるのか、その芸能人が目的なのかわからないし。
——やめようとは思わなかったですか?
後藤 高3になるタイミングでやめようと思いました。受験をしないといけないので。親に大学は絶対行けと言われていたので、3カ月ぐらい仕事を休んで代ゼミに通ってました。大学に受かって、各局への辞めるためのあいさつ回りも一人でしました。
そこでTBSに行ったら、知り合いのプロデューサーがお笑い番組のラジオをやっていて、「じゃあ、大学入るまで出なよ」って言われて、「あ、はい」と(笑)。
そこにフジテレビの誰かがまたいて、とんねるずさんの『本汁でしょう!!』っていう、『みなさんのおかげです』と『でした』の間にちょっとやってた番組、あそこのレギュラーが決まりました。
もう芸人はやめようと思って、大学入学までの1カ月間だけのつもりが、4月からのレギュラーが決まっちゃって。流されるように人生がまた動き出してしまった。
——なかなか辞めさせてはもらえない。
後藤 レギュラーが決まった時点で、その曜日の授業に出られないことが確定してしまう。特に理系だったので必修が多くて、最初に入った段階から留年決定でした。1年はオーバーする、5カ年計画でやりましょうと大学側と話し合って、大学生活と芸能生活が同時にスタートしたという感じなんです。
撮影=鈴木七絵/文藝春秋
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