年々増え続ける私立・国立の中学受験者数は、首都圏だけでも約5万人。受験生親子は入試本番期間をどう過ごし、何を思うのか――。
サレジオ学院を本命にしたアユタとその父。塾で「三冠」(灘、開成、筑波大学附属駒場のすべてに合格すること)にもっとも近い男と呼ばれていたハヤト、香蘭女学校に挑戦すると決めたコズエとそれぞれの母。気鋭の教育ジャーナリストである著者が、丹念な取材をもとに、この3組の親子の経験を物語形式で綴った。親子の頑張り、葛藤、家庭内に起きる困難、また塾業界の光と闇まで、中学受験の実態が描き出されており、合格発表の場面では思わずこちらまで手に汗を握る。
「我が家も数年前に中学受験を経験したのですが、本書の原稿を読み終えたとき、『あのしんどさは、うちだけではなかったんだ』とホッとできました。解説部分で、著者は中学受験の価値は結果ではなく過程にこそあり、必勝法はなくても必笑法はあると訴え、その具体的な方法を示しています。この解説に励まされる親御さんもきっと多いのでは」(担当編集者の藤沢陽子さん)
発売後数日で、在庫がなくなる書店が相次いだそう。
「著者は本書を『ワクチン的な本』と言っています。中学受験は決して悪いものではない。でもやり方を間違え壊れてしまう親子も多い。その予防の為にも読んでほしいと」(藤沢さん)