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 この報道は新年早々話題となり、連日メディアに取り上げられるなど社会問題に発展しました。あの頃の社会にはまだ、企業の卑劣なやり方を戒める空気が確実にあった。2000年以降、希望退職という「新手のリストラ」に企業が手をつけたことや、2008年に発生したリーマンショックの影響で派遣切りも多発。

 大きな騒動となった「年越し派遣村」の余韻も残っていたため、「会社は社員をなんだと思っているんだ!」という怒りが、社会全体で共有されたのです。

「そんなにお金もらってないし」という開き直り

 しかし、次第に会社への怒りは消え、「追い出し部屋に行かされる方にも問題がある」などと追い出し部屋を必要悪とする言説が増え、ついには「働かないおじさん」という辛辣かつ失礼な言葉が飛び交うまでになったのはご承知のとおりです。

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「仕事が残っていても平気で、『もう時間なんで』って帰るんですよ!」
「『そんなにお金もらってないしね』って開き直って、仕事を拒否するのもムカつきます!」
「『こんなこと、なんで俺がやるんだ』とか、不満ばかり。もう、辞めてほしい!」
「ずっと隣で居眠りされるのも、いやになりますよ!」
「うちのシニアはコミュニケーション拒否!」

 これまでインタビューした人たちからは、繰り返しシニア社員批判を聞かされました。むろん、私とて、周りを困らせる幼稚なおじさんたちがいることを否定するつもりはありません。

 しかし、特定の集団に対するネガティブなイメージが、長い時間をかけてじわじわと社会に根付くと、そこに差別や偏見が生まれ、結果的に集団隔離につながっていきます。

 若い人の中にも勝手な振る舞いをする人はいますし、女性たちの中にも不満ばかり口にする人もいます。なのに、なぜか「50代の男性会社員」ばかりがたたかれる、十把一絡げに「働かないおじさん」とレッテル貼りされていくのです。