俳優のイッセー尾形が、きょう2月22日、71歳の誕生日を迎えた。現在放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』では、三河の松平家(のちの徳川家)の筆頭家老として若き家康を支える鳥居忠吉を演じている。忠吉は家臣団の長老であり、初回の登場時には、歯がほとんど抜け、何を言っているのか聞き取れないキャラクターがインパクト大で、視聴者の話題をさらった。

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大河初出演は『独眼竜政宗』

 尾形は大河ドラマに、2019年の『いだてん~東京オリムピック噺~』で東京市長・永田秀次郎を演じて以来、三井組の番頭・三野村利左衛門を演じた2021年の『青天を衝け』、そして今年の『どうする家康』と、ここしばらく1年置きに出演している。

 大河初出演は1987年の『独眼竜政宗』にさかのぼる。このとき演じたのは、主人公・伊達政宗の叔父である国分盛重だった。その劇中、戦陣で政宗からその力量を疑問視された盛重が、これを心外として、うっかり数千の兵を集めてみせると大言壮語してしまい、政宗にもしできなかったら切腹せよと厳命されるというエピソードがあった。このとき、盛重は、陣から政宗がいなくなるや、ここぞとばかり悪口を言いまくり、置かれた政宗の兜に物を投げつけたあげく、そのまま逐電する。この間1分あまりを尾形はたった1人でつなぎ、盛重の小者ぶりを見事に演じてみせた。舞台での一人芝居で注目された彼のまさに本領発揮であった。

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 尾形は今年1月、「生きとったと!」と題して福岡で10年ぶりに一人芝居の公演を行った。福岡は出生地だが、父親が転勤族だったため、幼い頃から何度となく引っ越しを経験し、小学3年のときには東京に転居している。

小学生にして発揮した異才ぶり

 杉並区の小学校に転校したばかりのころ、テストの答案用紙の裏に、読書感想文を書くようにと先生に言われたのを聞き逃し、そのまま書かずに提出してしまった。だが、その後、感想文を読むよう先生から指名されると、尾形少年は慌てず、白紙を手にその場で思いつくがままに読み上げてみせたという。

 最近、このことを思い出した尾形は、《でも考えたら、一人芝居でお客さんの前に出るっていうのは、あれは自分が白紙状態ですからね。そこで何を書くか。ずっと僕は白紙に何かを書き続けているんですね》と語っている(『婦人公論』2022年3月号)。